CRMとは?主な機能や導入メリット、活用事例をわかりやすく解説

近年、多くの企業で導入され活用されているCRM。概念自体は90年代後半から用いられているものですが、近年ではクラウドによる低価格化が進んでいることもあり注目を集めています。
しかし、以下のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「実際のところどうなの?」
「導入する具体的なメリットってなに?」
「たくさんあるツールの中でどれを使えば良いの?」
今回はCRMを導入するとどんな良いことがあるのかや、どのCRMを選べばいいかわからない方に向けてCRMの概要、目的や機能、導入するメリットについて事例を交えて分かりやすく解説します。
この記事を読めばCRMの基礎知識とその活用方法がわかりますので、ぜひ参考にしてください。
INDEX
CRMとは?
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」という意味です。CRMの目的は、顧客と良好な関係を築き顧客が企業にもたらす利益を最大化することにあります。企業だけでなく顧客にとっても、ニーズに合った商品やサービスが購入できたり便利になるメリットがあることが特徴です。
古くは江戸時代の帳簿から存在した顧客情報の管理は、インターネットが普及し顧客のニーズが多様化したことや企業が集められる情報が増えたため、CRMで行う必要性が高まっています。
CRMを使えば顧客の個人情報や問い合わせ履歴、購入履歴などを一元的に把握、管理できるため一人ひとりに合わせたマーケティングが可能です。CRMで収集した情報を活用、分析すれば、ニーズに合わせた商品や質の高いサービスを提供することができ、売上や利益の向上につながるでしょう。
CRMとSFA/MAとの違いは?
CRMと似た機能を持つSFAとMAとの違いについて解説します。
CRMとSFAの違い
CRMは顧客との関係を管理するのに対し、SFAは営業活動の効率化を図るためのツールです。SFAとは「Sales Force Automation」の略で、取引先企業の基本情報や商談の進捗状況だけでなく、コミュニケーションや交渉も数値やテキストデータとして記録できます。
記録した情報はチームのメンバーとリアルタイムで共有でき、外出先での確認や入力も可能です。また、さまざまな観点から情報を抽出して分析することもできます。
SFAを導入すれば経験や勘など個々の能力に影響されやすい営業活動を、誰でも再現できるよう作業方法を統一したり進捗状況を共有できるため効率化が図れるのです。
CRMとMAの違い
CRMの既存顧客へアプローチし優良顧客やファンへ育成する目的を持つのに対し、MAは見込み客にアプローチし効率的なマーケティングを実施するためのツールです。
MAとは「Marketing Automation」の略で、見込み顧客の情報を一元管理したり購入意欲の高い見込み客を絞る作業を自動的に行います。
それぞれの顧客がもっているニーズや興味に対して「最適な情報」を最適なタイミングや方法で提供するには時間も労力もかかるためMAの導入が効果的です。
CRMが重要といわれる理由
CRMが重要と言われますが、理由はどこにあるのでしょうか。
結論から申し上げると、以下の通りです。
- 国内の市場が変化している
- 顧客の移り変わりが激しい
- 効率化とコスト削減が期待できる
- 顧客に対して一人ではなくチームで対応できる
では順に、紹介します。
CRMが重要な理由①国内の市場が変化している
CRMが重要といわれる理由として、国内の市場が変化していることがあげられます。
時代と共に市場は変化していきますが、特に近年は市場の大きさや速度が激しく動いている世の中です。
昭和や平成のバブル期・高度成長期では、新規顧客の獲得したは比較的安易にできる世の中でしたが、近年では集客のために、顧客の性別・年齢層・傾向などを細かく分析する必要が出てきています。
このことから顧客の関係を管理し、分析できるCRMが重要と言われているのです。
CRMが重要な理由②顧客の移り変わりが激しい
CRMが重要といわれる理由として、顧客の移り変わりが激しいことがあげられます。
上記で述べたとおり、昭和や平成のバブル期・高度成長期では、新規顧客の獲得や他社に流れた顧客の取り戻しは、比較的安易にできる世の中でした。
しかし近年では、集客のために、顧客の性別・年齢層・傾向などを細かく分析して良いサービスを提供しないと、顧客離れに繋がるのです。
近年では、一度離れた顧客を取り返すことは容易でないことから、CRMが重要と言われています。
CRMが重要な理由③効率化とコスト削減が期待できる
CRMが重要といわれる理由として、効率化とコスト削減が期待できることがあげられます。
顧客の管理をExcelなどで管理するには、手入力で入力を行うので膨大な時間と手間がかかってしまいますし、誤入力の発生など正確ではありません。
CRMを導入することにより、顧客情報や分析などを自動で管理することになりますし、作業の効率化にも繋がるのです。
このような良い相乗効果が発生することが、CRMが重要といわれる理由になります。
CRMが重要な理由④顧客に対して一人ではなくチームで対応できる
CRMが重要といわれる理由として、顧客に対して一人ではなくチームで対応できることがあげられます。
CRMを導入することで、一つのパソコン上だけではなく、会社内の全てのパソコン上で顧客情報などの管理を行えることが可能になりますし、速やかな対応が可能となるのです。
万が一に担当社員が不在だった際にも、他の職員で対応することが可能になるのが、CRMが重要といわれる要因になります。
CRMの基本機能
ここではCRMの主な機能について解説いたします。
CRMの基本機能①顧客情報の管理と分析
CRMを使うと顧客情報の管理と分析ができます。顧客情報とは会社名、氏名や年齢、性別、メールアドレスなどの基本的な情報、購入履歴や問い合わせやクレームの対応履歴などです。顧客情報を管理、蓄積することで顧客ごとの好みや行動傾向を分析できれば、マーケティング戦略や経営戦略を立てられます。
たとえば、特定の商品をよく購入する顧客に同じシリーズの別商品をおすすめとしてメール配信すれば、購入する可能性が高いです。大量の情報を一元管理、分析すれば顧客に合わせた情報提供やアプローチができるためビジネスチャンスが広がります。
CRMの基本機能②プロモーション管理
CRMを導入するとプロモーション管理もできます。プロモーション管理とは購入金額や購入頻度、直近の購入日などの顧客ごとの情報を基に、最適なタイミングでメルマガやDMを配信したり、クーポンや優待券を送ったりする機能です。
たとえば、過去に商品を購入したことがある顧客にセール情報やクーポンをメール配信すれば、新たな購入が期待できます。購入金額で分類など特定の情報を抜き出せるため、顧客に合わせたプロモーションが可能です
CRMの基本機能③商談管理
CRMでは、商談の進捗状況も管理が行えます。受注確度(受注確率)や、商談の優先順に並べた管理も可能です。
しかも、その顧客情報を担当社員一人で管理するのではなく、社員全体で顧客情報が共有できるので、引き継ぎなどの手間がなく、効率的に業務をおこなえます。
業界業種ごとに、商談情報をまとめて管理もおこなえるので、業界業種ごとでの共通点などの分析などもスムーズに実行しやすいです。
CRMの基本機能④メール配信
CRMにはメール配信機能があり、メールマーケティングにも活用できます。メール配信とは一般的なメルマガの他にフォローメールやストーリーにもとづくステップメールのことです。
たとえば、商品を購入した顧客に商品の関連情報を定期的に配信すれば、有益な内容と判断され開封率のアップや関連商品の購入が期待できます。
手動の場合忙しさや単純ミスで送れないこともありますが、CRMなら顧客情報を登録すれば自動で配信ができるため確実に施策が実行できるのです。
CRMを導入するメリット
CRMを導入するメリットを7つ解説します。
CRMの導入メリット①顧客の情報を一元管理できる
1つめは顧客の情報を一元管理できることです。情報を一元管理すれば、新しい施策を考えたり効果を検証するときに必要な情報をすぐに探せるため、効率よく効果的な施策が考えられます。
顧客が企業であれば、商談の内容やプロセス、顧客とのやりとりを記録しておくことで契約に至らなかった原因を探り、改善することも可能です。
情報を分析し効果的な施策やマーケティングにつなげるためには、情報が使いやすい状態にしておく必要があるので一元管理が重要になります。
CRMの導入メリット②モバイルデバイスに対応して、コア業務に時間を費やせる
3つめはモバイルデバイスに対応して、コア業務に時間を費やせることです。クラウドで提供されているCRMのサービスはモバイルデバイスにも対応しています。外回りの多い営業担当者にとっては、いつでも作業や情報を確認できるため大きなメリットです。
たとえば、顧客を訪問した後に結果をCRMに入力し、移動中に次の取引先の情報をチェックしてから商談に臨み、商談が終わればそのまま直帰することもできます。
外出先でも社内にいるのと変わらない環境で営業活動ができるので、無駄な時間にすることなくコア業務に専念できるのです。
CRMの導入メリット③満足度の向上に繋げられる
4つめは顧客満足度の向上につなげられることです。顧客情報をチームメンバーや部門間で共有できるため、ひとつの部門だけにとどまらず全社的な体制で顧客に迅速かつ効果的なアプローチができます。それぞれの部門が最新の情報を得られるため、より顧客のニーズにあった商品やサービスが提供可能です。
たとえば、過去に購入したことがある商品やサービスに関連する情報を受け取れたり、適切なサービスや必要なサポートを受けられるなどがあります。営業担当者が変わっても今までと同じように適切なフォローが受けられれば顧客の信頼を得ることができ、結果として顧客満足度の向上につながるでしょう。
CRMの導入メリット④PDCAサイクルを加速させる
5つめはPDCAサイクルが加速することです。PDCAとはPlan (計画)、Do (実行)、Check (評価)、Action (改善)の頭文字を合わせたもので、繰り返し行うことで改善策が見つかり利益の向上が見込めます。
CRMを導入すれば、蓄積された顧客情報や履歴などから施策の計画を立て、実行した後にメールの開封率など具体的な数値を使いながら施策の効果を検証できるため、改善点がはっきりします。
PDCAサイクルを早く回せば利益アップにつながる期間も短くなるため、PDCAサイクルを早く回せるかどうかが企業の成長のポイントです。
CRMの導入メリット⑤新たな施策の立案に繋がる
6つめは新たな施策の立案につながることです。「どのような商品の売れ行きがよいか」「成約率の高いアプローチ方法はどれか」といった様々な分析ができることから、売上を伸ばす施策を考える上で手助けとなるでしょう。
膨大なデータを収集できるため新たな施策の根拠にもなります。
CRMにおける具体的な施策を知りたい人はこちらの記事も参考にして下さい。
CRMを選定する際のポイント
CRMを効果的に使うためには自社に合ったものを選ぶことが大切です。ここではCRMツールを選択する際に、考慮するべきポイントについて解説します。
CRM選定のポイント①使いやすさ・必要な機能があるか
第一に使いやすいことが重要です。使いにくければ実際に現場で使う担当者の負担が増えるだけでなく、せっかくコストをかけて導入したシステムが無駄になってしまいます。
しかし、システムの使いやすさや自社にとって必要な機能があるかなどは、実際に使ってみないと判断がつかないかもしれません。
デモ版があれば本格導入の前に試用したり、疑問点を問い合わせたりしながら候補を比較してじっくり検討すると良いでしょう。
CRM選定のポイント②導入実績があるか
CRMの導入実績があるかもポイントのひとつです。 実績が豊富であれば信頼度が高く、良いツールである可能性も高いでしょう。
同じ業界の導入実績が多ければ、自社で必要な機能も持っている可能性も高いので同じ業界の導入実績を確認しておくことをおすすめします。
CRMツールを提供する会社のホームページには導入事例が公開されていることが多いので、まずは自社の事業に特化したCRMツールのホームページから確認しましょう。
CRM選定のポイント③サポートやフォロー体制はあるか
CRMの導入は、使い方に慣れて運用が定着し効果が現れるまで時間がかかります。効果を得るにはサポートやフォローが必要なので、体制がしっかりしていることもポイントです。
たとえば、システムの使用が定着するまでのフォローとして電話やチャットでのコミュニケーションがあると心強いでしょう。しっかりとしたサポートやフォローが効果的な運用につながります。
CRM選定のポイント④セキュリティは万全か
CRMは顧客の大事な個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策が重要です。外部からの不正なアクセスによって、顧客の個人情報が抜き取られてしまっては企業だけでなく顧客にとっても不利益が生じ、信頼を失ってしまいます。
一度失った信頼を取り返すことは容易ではないので、セキュリティ対策には特に力を入れましょう。
CRM選定のポイント⑤他のツールと連携がとれるか
CRMはマーケティングで使用されるMAや営業活動を効率化ができるSFAと連携させることで、より効果を発揮するため他のツールと連携がとれるかが大切です。
たとえばコールセンターでは、自社のITツールと連携できれば各オペレーターの作業効率が上がり、手間や時間のロスを無くすことができます。
すでに自社で導入しているツールと検討中のCRMが連携できるか、将来的に導入する可能性のあるツールと連携できるかなど確認しましょう。
CRM選定のポイント⑥導入や費用にかかるコストは適正か
CRMの導入や運用にかかるコストは妥当かも確認しましょう。複数のサービスを費用の面で比べてみて、予算に合ったプランを選ぶ必要があります。CRMは初期費用はサービスにより数万〜数百万までさまざまですが、無料で始められるプランや月額費用を支払うプランもあります。
一般的に、利用できるユーザー数や機能が充実するほどコストが高くなるため、自社の規模や必要な機能で検討することが重要です。必要ないほどの多機能なツールを導入すると無駄なコストにつながるので、機能面で自社に適しているCRMを選びましょう。
CRMを上手く活用するためには?
CRMには多くの有用な機能がありますが、上手く活用することが大切です。ここでは、どのように活用すれば良いのかについて解説します。
ビジョンを明確にし戦略を練る
CRMを上手く活用するためにはビジョンを明確にし戦略を練ることが必要です。ビジョンは最終的な目的を表すKGIと言い換えることができ、KGIを達成するための具体的な目標としてKPIを立てる必要があります。
たとえば、「年間の売上を30%あげる」というKGIを設定した場合、「月の売上を3%あげる」「リピーターを増やす施策を行う」などのKPIを設定できます。
ビジョンを基に目標が決まったら、自社や自社製品の特徴や強みを活かしてどのような価値を提供できるのかを考え、戦略を練ることが必要です。
評価指数を設定する
達成するべき目標を立てる場合には、評価指数を設定することも必要です。評価指数とは受注金額、顧客数、顧客単価、継続率などがあります。小さな目標として明確な目標値を定め、日々達成できたか検証すれば進捗状況を把握できます。
具体的にクーポンの使用率であれば「実店舗で1日3件の使用」と目標値を設定し、実店舗限定のクーポンを既存顧客にメール配信するなどです。施策の効果が現れるまでには時間がかかるので、評価指数を設定する際には短期で対応できるものを設定するといいでしょう。
また、評価指数には自由度を持たせ、運用しながら気づいたことを反映させる必要があります。記録された情報を分析して最適な評価指数を設定することで結果につながるでしょう。
データを基に顧客とのコミュニケーションの見直しを図る
CRMを運用していくことで蓄積された顧客情報を分析して、既存顧客のニーズに合った製品やサービスを提供すれば顧客満足度を高められます。集めたデータは自社と顧客とのこれまでのコミュニケーションの記録です。
データを分析し顧客とのコミュニケーションの見直しを図ることで、既存顧客との取引を長期的なものにして、優良顧客へ育成できます。新規顧客の獲得は既存顧客の維持より数倍のコストがかかるため、まずは既存顧客を対象に取り組むと良いでしょう。
CRMにおけるKPIや戦略の設定方法についてはこちらの記事でも解説しています。
CRMツールを導入する際の注意点
CRMツールを導入・運用する際の注意点は以下のとおりです。
- 社員の理解を得てから導入する
- 必要なデータを明確にする
- 運用体制を整えておく
- 分析ルールをアップデートする
- トップの理解と支援をとりつける
- ロードマップを立て優先順位をつける
企業で課題となりやすい点なので、事前に先手を打ち、スムーズなCRMツールの活用を目指しましょう。
社員の理解を得てから導入する
1つめは社員の理解を得てから導入することです。CRM導入の際に上層部だけで話し合い、部下には周知してないケースがあります。
実際に使う社員がCRM導入の意図や操作方法を把握していなければ使いこなすことができず、「無駄な作業が増えた」と捉えられてしまうことがあるので注意が必要です。
CRMの導入研修会などの使用方法の確認・話し合いの場を設けるなど、全社員に前もって理解を得ておくことがCRM導入で失敗しないポイントといえます。
必要なデータを明確にする
2つめは必要なデータを明確にすることです。CRM導入後に、顧客情報を記録しますが、どの顧客情報を記録すべきなのかをしっかり考えることが大切になります。
「記録することで顧客に与えられるメリット」「企業側の課題解決」など目的を考えることで必要なデータの把握が可能です。目的に沿って「どのような情報を入力するのか」決めておけば、情報を有効に活用できます。
たとえば、顧客満足度をあげるためにどのような苦情や問い合わせが多いか集計するのであれば、内容と種類を確実に入力する必要があるでしょう。CRMを導入する上では事前設計が大切です。
運用体制を整えておく
3つめは運用体制を整えておくことです。CRMを運用するためには、使い方を社員一人ひとりに定着させる必要があります。
新しいツールの場合、操作方法がわからないことがよくあるのでサポートできるような担当者を部門ごとに設置したり、管理部門を設置して部署同士の連携を図ることが必要です。
実際にCRMの運用に詳しい社員がいない場合や自社で対応が難しい場合には、十分なサポート体制があるCRMを導入する方法もあります。
分析ルールをアップデートする
4つめは分析ルールのアップデートです。CRMを導入しても、当初の分析ルールのままで効果が発揮できるとは限りません。CRMを使いながら気づいたことがあればPDCAを回し見直しましょう。
具体的な項目としては、情報の取得期間や種類、活用目的などがあります。企業によってはCRMをSFAやMAと連携させる場合もあり、情報量が膨大になることが想定されるので分析ルールをはっきりさせることが大切です。
トップの理解と支援をとりつける
CRMを導入する際には、できればトップダウンで導入することをおすすめします。CRM導入は企業内の多方面に影響を及ぼし、従来の業務手法を変えざるを得ない場合が少なくありません。
そうなると、社内からはネガティブな意見も噴出し、いち担当者レベルでは社内のコントロールが困難です。トップがキーマンになることで、社内コンセンサスを取りながら導入することができるため導入がスムーズです。
ロードマップを立て優先順位をつける
CRMの導入は、あくまでもスタートに過ぎません。その先に、継続的な目標設定や社内研修をはじめ、中長期的な目標を立てる必要があります。
そのため、CRM導入の際、長期的なロードマップを立てることをおすすめします。ロードマップを作ることで、今やっている課題と目標との擦り合わせができ、将来あるべき姿をイメージすることが可能です。
以下の記事では、CRMの導入で失敗しないための方法についても解説しています。あわせて参考にして下さい。
ビジネスモデル・企業規模別CRMシステムの選び方
企業が採用するCRM(Customer Relationship Management)システムは、ビジネスモデルや企業規模に合わせて選択する必要があります。
ここではビジネスモデル別と企業規模別に、適切なCRMシステムを選ぶためのポイントを解説します。CRMシステムの選択に迷っている企業の方々は、ぜひ参考にしてください。
ビジネスモデル別 CRMシステムの選び方
BtoBビジネスのCRM戦略
BtoBビジネスにおいては、顧客との信頼関係を築くことが、長期的なビジネス成功に欠かせない要素です。
CRMシステムは、BtoBビジネスにおいて、顧客との関係を構築し、維持するために必要な戦略的ツールの一つです。以下では、BtoBビジネスにおけるCRM戦略について、システムの選び方を中心に解説します。
①企業のニーズに合ったシステムの選定
BtoBビジネスにおけるCRMシステムの選択においては、企業のニーズに合ったシステムを選ぶことが重要です。例えば、カスタマーサポートや問い合わせ対応が重要な場合は、チケット管理機能を備えたシステムが必要です。また、ビジネスプロセスの改善や生産性向上を目指す場合は、営業管理や予算管理などの機能を備えたシステムが必要です。
②カスタマイズ性や拡張性の確認
システムの導入にあたっては、カスタマイズ性や拡張性にも注目する必要があります。BtoBビジネスは、ビジネスプロセスに合わせてシステムをカスタマイズすることが求められるため、自社のニーズに合わせてシステムをカスタマイズできるかどうかが重要です。また、今後のビジネスの拡大に伴い、システムを拡張することができるかどうかも確認する必要があります。
③セキュリティやプライバシー面のリスク管理
BtoBビジネスにおいては、セキュリティやプライバシーに関する規制にも注意が必要です。特に、個人情報保護法やEUの一般データ保護規則(GDPR)に対応したシステムが必要となります。これらの規制に対応しないシステムを導入すると、企業に大きなリスクをもたらすことになります。
最後に、システムの導入にあたっては、トレーニングやサポートの提供にも注意が必要です。導入後にシステムを活用するためには、ユーザーのトレーニングやシステムのサポートが必要となります。システムの導入前に、ベンダーの提供するトレーニングやサポート体制を確認することが重要です。
BtoCビジネスのCRM戦略
BtoCビジネスにおいて、顧客との信頼関係を築くことは、競争が激化する市場において成功するための重要な要素の一つです。
CRMシステムは、BtoCビジネスにおいて、顧客との関係を構築し、維持するために必要な戦略的ツールの一つです。以下では、BtoCビジネスにおけるCRM戦略について、システムの選び方を中心に解説します。
①顧客データの収集・管理面での使いやすさ
BtoCビジネスにおけるCRMシステムの選択においては、顧客データの収集・管理が容易であることが重要です。例えば、自社のウェブサイトやSNSからのデータ収集機能を備えたシステムが必要です。また、購入履歴やクレジットカード情報を管理する機能も必要となります。
②マーケティング施策の実行や分析の可否
システムの導入にあたっては、マーケティング施策の実行や分析が容易であることも重要です。例えば、メールマーケティングやプロモーション管理、Web分析機能などが備わっているシステムが適しています。また、顧客の行動データから嗜好や傾向を把握し、適切なタイミングでターゲティングするために、AI技術を活用したシステムが注目されています。
③システムの柔軟性や拡張性、スピード感
BtoCビジネスにおいては、スピード感や柔軟性にも注目する必要があります。顧客は迅速な対応を求めるため、システムの反応速度が速く、スムーズに顧客対応ができることが求められます。また、ビジネス環境の変化に迅速に対応するため、システムの柔軟性や拡張性も重要です。
最後に、システムの導入にあたっては、ユーザーの使い勝手やカスタマイズ性にも注目する必要があります。BtoCビジネスは、多くの場合、大量の顧客データを扱うため、システムの使い勝手が良く、操作が容易であることが求められます。また、自社のビジネスニーズに合わせてシステムをカスタマイズできることも重要です。
企業規模別 CRMシステムの選び方
中小企業のCRM戦略
中小企業にとって、CRM(顧客関係管理)は、新規顧客の獲得だけでなく、既存の顧客との関係構築にも重要な役割を果たしています。しかし、多くの中小企業は、CRMに関する情報が不足しており、戦略的なアプローチを取れていないことが多いです。
以下では、中小企業におけるCRM戦略について、システムの選び方を中心に解説します。
①コストパフォーマンス
中小企業においては、CRMシステムを選ぶ際に、コストパフォーマンスを重視することが必要です。大手企業に比べて、予算が限られている中小企業では、高額なCRMシステムの導入は難しい場合があります。そのため、クラウド型のCRMシステムなど、低コストで導入できるオプションを検討することが必要です。
②システムのカスタマイズ性
中小企業においては、顧客とのコミュニケーションの頻度や方法が、大企業とは異なることが多いため、システムのカスタマイズ性が求められます。顧客との接点が少ない場合は、顧客情報の収集・分析を行うための自動化機能や、セールスプロセスの自動化機能などが有効です。また、顧客との接点が多い場合は、メールやチャットなどのコミュニケーション機能が優れたCRMシステムが適しています。
③社員のトレーニングや教育等フォロー状況の確認
中小企業においては、CRMシステムの利用に専任のリソースを割くことが難しい場合が多くあります。CRMシステムを効果的に活用するためには、社員がシステムを使えるよう社員のトレーニングや教育等フォローが整ったCRMシステムの提供会社を選定することが必要です。
最後に、中小企業においては、顧客情報の取り扱いについて、厳密なルールとプライバシーポリシーを設定することが必要です。顧客情報の漏洩や不正利用は、中小企業にとって致命的なリスクになります。そのため、CRMシステムのセキュリティ強化や、社員のデータ管理に対する意識
大企業のCRM戦略
大企業にとって、CRM(顧客関係管理)は、長期的なビジネス成長において重要な要素の一つであり、既存顧客の維持や新規顧客の獲得に大きな影響を与えることがあります。
以下では、大企業におけるCRM戦略について、システムの選び方を中心に解説します。
①システムの拡張性・柔軟性
大企業においては、CRMシステムの機能面に加えて、拡張性や柔軟性など、将来的な変化に対応できるシステムの選定が必要です。大企業では、膨大な量の顧客情報を扱うことが多く、ビジネス環境の変化によっても、CRMシステムの機能要件が変わることがあります。そのため、柔軟に機能を追加・変更できるCRMシステムを選ぶことが重要です。
②システムの統合性や共有性
大企業においては、複数の部署や拠点でのCRMシステムの導入が必要になることがあります。その場合、システムの統合性や共有性が求められます。例えば、セールス、マーケティング、カスタマーサポートなど、異なる部署で同じ顧客情報を扱うことがあります。そのため、顧客情報の統合や共有を円滑に行えるCRMシステムを選択する必要があります。
③正確な予測分析やマーケティング施策の立案が可能であるか
大企業においては、AIやビッグデータなどの最新テクノロジーを活用することが求められる場合があります。CRMシステムにAIやビッグデータ解析機能を組み込むことで、より正確な予測分析やマーケティング施策の立案が可能になります。そのため、最新のテクノロジーを組み込んだCRMシステムを選択することが重要です。
CRMシステムを効果的に活用するためには、社員がシステムを使いこなす必要があります。そのため、CRMシステムの利用方法や運用ルールを社員に定期的に説明することが重要です。
CRMの活用成功事例
CRMは、既に多くの企業で実際に活用されています。ここではCRMの活用成功事例を3つ紹介します。
成功事例①業務効率が向上した「昭和シェル石油株式会社」
「昭和シェル石油株式会社」は、顧客からFAXで受けた受注を手作業でシステムに入力し、FAXやメールでグループ企業と調整をしてから注文が確定するという方法をとっていました。そのため、受注内容の確認や変更を正確かつ迅速に行うこととグループ企業とのやりとりを効率化させることが課題となっていたのです。
CRMを導入した結果、顧客とシステム上で注文情報を共有できるようになり、手配状況をリアルタイムで確認できるようになりました。また、1つの注文データにグループ企業とのやりとりを保存し、メール発信もできるようになったため注文メールを探す手間が省けたのです。
結果として、受注用の紛失やデータの打ち間違いがなくなり正確で迅速な情報伝達が可能になりました。受発注業務の信頼性が大幅に向上し、ペーパーレス化も進んだそうです。
成功事例②顧客満足度の向上に成功した「株式会社ナノ・ユニバース」
「株式会社ナノ・ユニバース」は、ECサイトと店舗POSシステムを運用していましたが、会員システム・ポイントサービスがそれぞれのシステムで利用されていました。将来的に「O2O施策」や「オムニチャネル戦略」を実施するためには顧客情報を一元化し、情報を集約する課題があったのです。
CRMの導入でECと店舗で顧客が得たポイントが共通化され、会員ランクによるポイント制度も整備されました。ポイントサービスの利便性があがったことで顧客満足度と売上が向上したそうです。また、ECと店舗の情報を一元管理したことでポイント施策やクーポン配布をより効果的に実施できました。
成功事例③WEB集客で来店を促した「株式会社はなまる」
はなまるうどんで知られる「株式会社はなまる」は、メルマガ会員約3万人に向けて、クーポンや店舗情報などを配信していましたが、スマホの普及による配信エラーが生じていました。
また、「ブランド発信の基盤」をWEB上につくり、顧客ひとりひとりの消費意向を反映させた来店・販売促進や認知拡大が課題だったそうです。
ファンサイトを立ち上げ新たなCRM施策を開始した結果、店舗で使用できるクーポンの利用率が2%から6%に上昇し、1年で2万人を超える顧客ネットワークを確率できました。さらにTwitter、InstagramなどのSNSへの投稿をファンサイトに集約し、情報発信の総合的な基盤にできたのです。
CRMツールなら「うちでのこづち」
「 うちでのこづち」は、ECに特化したCRMで通販システムとの自動連携が可能です。リピート数増加、LTVを向上させる効果があり、導入企業の累計は650社を上回ります。
国内のECカートおよび基幹システムとの自動連携にはほぼ対応しているため、追加のシステムは不要です。 また、うちでのこづちは独自の分析プログラムで特許を取得しており、顧客満足度は93%以上になります。
現在使用中のシステムやECカートと自動連携できるので、導入したその日からCRMツールとしての効力を最大限発揮してくれるでしょう。月額制で月額29,800円から利用できるのもメリットです。
専属のサポート体制も整っているため対面やオンラインでアドバイスが受けられ、初めてCRMを導入される企業様でも安心して使っていただけます。
まとめ
今回はCRMを導入するとどんな良いことがあるのかや、どのCRMを選べばいいかわからない方に向けてCRMの概要、目的や機能、導入するメリットについて解説しました。
この記事のポイントは以下のとおりです。
- CRMとは「顧客関係管理」という意味で、目的は顧客と良好な関係を築き顧客が企業にもたらす利益を最大化すること
- CRMの主な機能は、「顧客情報の管理と分析」「プロモーション管理」「メール配信」
- CRMを導入するポイントは、機能、使いやすさ、実績、サポート体制、セキュリティ、連携、コストを考えること
自社に最適なCRMツールやシステムを選び、運用を継続すれば営業活動の効率化や優良顧客の育成が期待できます。結果として売上や業績の向上につながるので、ぜひCRMの導入を検討してみてください。
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