ECサイトのリピート施策。リピート率を伸ばす方法を事例と共に解説

EC通販において売上を伸ばすために重要な「リピーター」。売上比率においてリピーター比を8割にすることを目指す場合が多く、各EC通販事業者などがこの「リピーター8割」に向けて、日々いろいろな施策を打っています。
今回は、リピーターを増やすためにどんな施策が有効なのか、どんなやり方があっているのかなどを解説。リピーター施策を行う上で、欠かせない「ペルソナ」の設定の仕方についてもご紹介します。
INDEX
リピート客の重要性
基本的に売上の構成は「客数」×「客単価」です。そのうち、客数の打ち合わせは「新規顧客」+「リピート客」です。EC通販を始め、通販企業の多くは「広告」を頼りにビジネスをしているケースが多く、新規客を「広告」で呼べるかが最初の鍵となります。
しかし、広告に依存していると広告効果が悪くなったときや競合企業が同じ製品を出した際に瞬く間にビジネス崩壊を起こす危険性があります。そのため、各企業は「リピート客」の獲得に力を入れているのです。
また、リピート客は新規客と比べてマーケティングコストがほとんどかかっていないため、言わば「利益率が高いお客さん」となります。ビジネスを大きくしていく上で「利益」・「利益率」は大事なポイント。リピート客を獲得していくことこそが、ビジネスを成功に導くための一歩と言っても過言ではありません。
新規のお客さんはリピートにはならない?
「うちは良い商品を提供しているから」と言って、リピート施策を行わず、「商品の良ささえ知ってもらえれば」と考えてはいませんか? 良い商品を作って顧客へ提供することは絶対条件で必要なことです。
しかし、それは他企業とて同じこと。各企業が自分たちが良いものを提供していると思って基本的には通販事業やEC事業を展開しています。そのため、良いものを作っているだけでは新規のお客さんはリピート客には繋がりません。
しっかりとした、リピート施策を打っていくことが重要になってきます。
どんなリピート施策を行っていますか
リピート施策には、色々あり各企業が多くのリピート施策を日々試行錯誤しながら行なっています。
リピート施策を行なっているうちの多くの企業が
「ステップメールでフォローしている」
「メルマガを送っている」
「同梱物を入れている」
「DMを送っている」
「コールセンターを使っている」
などの施策を行い、顧客フォローをしています。
いずれもリピート施策に有効とされるものですが、近年では顧客にアプローチできるメディアが増えているため、上記以外の施策を行っている企業も多くなっています。
リピート施策に意図を持って行なっているか
基本的にリピート施策を行なっている企業の多くは、「他企業もやっているから」などの理由から施策をスタートしているケースが見受けられます。自社のペルソナを理解しながら各リピート施策の意図などを説明できる企業は一部に限られています。
各企業によって同じ商品でも打ち出し方が違っていたりパッケージが違っていれば顧客は全く別物です。しっかりとペルソナを捉えた上でリピート施策を組むことを強くおすすめします。
自社の顧客が分析できていない状態でリピート施策を行なっても、逆効果になってしまうケースも。自社の顧客の意図や満足する部分、求めている情報などをしっかりとキャッチアップした上で施策を行なっていきましょう。
ペルソナ、顧客心理に合わせた施策とは
そもそもリピートはどんな時に起きるのでしょう。
例えば、「他社より安い(お得)」。
これはすぐに思い浮かびますが、品揃え、価格ではアマゾン、楽天などをはじめとした「モール」への勝ち目はありません。
かといってモールで勝負しても低価格競争に巻き込まれてしまい、常時発生するモールへのロイヤリティで疲弊してしまうのは明白です。
では価格競争をすることなく、リピーターを獲得できる方法があるのでしょうか。
リピーター獲得には顧客に合わせたコミュニケーションでお店のファンになってもらうリピート施策が重要となります。
お店のファンというのは、顧客と店舗(あるいは店員)との間に「信頼」や「共感」が築かれている状態です。
一度この状態になってしまえば、他社で類似品の商品が多少安く販売されていても、信頼が築かれていない新しい店舗でまた会員登録をしてまで購入しようとは考えにくくなります。
更にどうせ同じ位の価格、商品を購入するのであれば、商品知識が豊富な専門家や親しみの沸く人物から購入したいと思うことでしょう。
顧客を「ファン化」するにはペルソナと顧客心理の理解が欠かせません。
極端な例ですが、ご想像ください。
あなたはどこにでもある商品をA店、B店のどちらからか購入しようとしています。
お店への距離、価格は同じです。
A店は事務的な接客で販売をする店舗。
B店はフレンドリーな接客に定評があり気さくに話しかけてくれる、また、その時々により自分に合ったおすすめの商品を紹介してくれる店舗。
ほとんどの方がB店で購入するように思われます。
それでは、もしあなたがとても急いでいて、店員とできるだけ余計なコミュニケーションをとりたくない状況ならばどちらのお店を選ぶでしょう。
A店のような接客であっても顧客心理を理解した上で行っていれば、「自分の事をわかっている店」として、その店の常連になるかもしれません。
今度はお悩み系商材の店舗側の立場をご想像ください。
「顧客にセールスのメールばかりを送り付けてはそっぽを向かれてしまう。まずはコミュニケーション中心のステップメールで顧客との関係を十分に築いてからクロスセルを狙っていこう」
このように考え、ステップメールやメルマガを送るご担当者も多いかと思います。
これは顧客に合わせたコミュニケーションになっているでしょうか?
一見顧客のことを考えているようにみえますが、もし顧客が、「一刻も早く現在の悩みから解放されたい!」といった心理であった場合、購入後早いタイミングで「一緒に使用するとさらに早く悩みから解放される」商品を紹介する方が喜ばれることでしょう。
十分コミュニケーションをとってから紹介するのではタイミングが合わず、早い段階で見切りをつけて他社商品へ移ってしまうかもしれません。
このような顧客が多ければ大きな機会損失となってしまいます。
また、早い段階でクロスセルをかければ、商品の効果に対する実感が強くなり、継続率やLTVの上昇につながる可能性も十分に考えられます。
逆に顧客が「購入したときは良いと思ったが、この商品やお店は大丈夫なのだろうか?」
という心理状態であれば、早期にセールスをかけるのはあまり得策ではありません。
少し極端な例でしたが、ペルソナや顧客心理の理解が顧客との関係の基本をつくり、「ファン化」を促進していくのです。
どうやってペルソナや顧客心理を想定するか
それでは実際にリピート施策を行うためのペルソナを考えていきます。
「ペルソナ」と聞いてすぐに思い浮かぶのは、性別、年齢、家族構成などです。しかしこの情報だけでは顧客心理に結び付く、仮説を立てることはできません。
「なぜ商品を購入したか」
「どうなりたいのか」
「どんな悩みを抱えているのか」
「何を喜びに感じるか」
「好きな雑誌(情報源)」
「一か月にかけられる金額」
など、項目をより細かく設定できれば、顧客像から心理までを仮説を立てていくことが出来ます。
顧客像の設定ができたら、仮説を立てていきます。
顧客は普段こんな悩みを持っていて、その解決のために○○(商品)を購入。
その商品にどんな期待していて、どんな未来を手に入れたいのか。
もし途中でやめてしまうとしたら何が理由か。
といった具合に仮設を組み立てていきます。
また媒体が変わるだけでペルソナや顧客心理も大きく変わってくる可能性もあるので、媒体ごとに設定を変えていくことも有効です。
もしペルソナや顧客心理がみえてこない場合はアンケートを優良顧客向けに行ってみてください。仮説を立てる手がかりとなります。
ペルソナ設定の流れを事例と共に解説
ペルソナ設定について理解はできたと思います。
しかし、理屈は理解できてもイメージが難しいということもあるでしょう。
実際はどのようにペルソナを作っていくのか具体的な流れを解説します。
いろんな視点で情報収集を行う
まずは顧客のデータをまとめます。
年齢・性別・住所・職種・購入履歴・購入金額などを収集します。
さらにクレーム内容やアンケート等の情報があれば追加していきます。
クレームやアンケートからは商品やサービスに興味を持ったきっかけや検索キーワード、購入の動機を具体的に調べられるとペルソナ設定の精度は向上します。
購入に至らなかったケースの情報収集も可能ならばやっておきましょう。
購入した顧客からは見えなかった情報から新たに改善・追加できるコンテンツが明確になる可能性があります。
これらの情報からデモグラフィックという人口統計学的な属性とサイコグラフィックという心理学的変数に分類します。
デモグラフィックとは年齢・性別等からイメージできる人物像のことで、サイコグラフィックは興味関心やライフスタイル等から見える人物像のことです。
基本情報やアンケート等からの情報収集以外にも顧客との営業に関わった従業員からも意見を聞いてみましょう。
実際に顧客と接したからこそ見えているニーズを新たに発見できるかもしれません。
これらの情報をまとめあげ、性別や年齢層だけでなくどのような商品・サービスに興味があるのか、どのような悩み・ニーズを持っているのかをイメージできるように準備します。
リストアップで具体的な人物像を描く
情報収集の次は項目でシートを作るとより具体的なイメージができます。
- 氏名
- 年齢
- 性別
- 性格(価値観、ものごとの考え方)
- 最終学歴
- 職業 / 現在の役職
- 年収
- 通勤にかかる時間
- 居住地域
- 趣味(複数でも可)
- 家族構成
- 身長/体重
- 結婚/恋人の有無
- 交友関係
- 日課にしていること
- 1日の予定(平日の過ごし方、休日の過ごし方)
- 利用しているSNS
- 情報収集の方法
- 持っているデバイス
- よく見ている映画・動画チャンネル
- 購読している雑誌/書籍
- 好きなブランド
- 最近の悩み(複数でも可)
- 今感じている課題やチャレンジしたいこと
- 将来の夢
これらは一例なので決まった項目があるわけではありませんが、集めた情報から上記の項目を肉付けしていく事でリアルな人物像が生まれてきます。
その人の悩みや価値観、どんな人生を送りたいか等の具体的なストーリーまでイメージできるとペルソナ設定の精度はその分向上していきます。
特に心理的な要素を具体的にすることは重要です。
今抱えている悩みや興味関心は顧客のニーズに関わってくる要素になるので機会損失のリスクが避けられます。
ライフイベントも想定することができればその時に需要のある商品やサービスを提供する機会を得ることもできます。
ペルソナ設定が終わったら設定した人物像はマーケティングから外れていないか、情報収集した内容からズレていないか必ず検証しましょう。
従業員のだれもがイメージできるペルソナであるかも確認する必要があります。
ペルソナ設定を正しく行い、チーム内で共有できればチーム内での認識のズレなく連携した業務を行う事ができます。
逆に従業員の中で設定したペルソナのイメージにズレが生じてしまった場合、業務を行っても足並みが揃わずチーム内で意見の食い違い等が生じてしまう可能性があります。
顧客のニーズに合った商品・サービスを提供するためにも設定したペルソナを正しくイメージできるか共有し情報収集した内容とも合っているか確認しましょう。
ペルソナ設定する時に気を付ける事3点
ペルソナ設定は膨大な情報をまとめ上げて作るので、ついやりがちな失敗もあります。
情報は正確か
情報が正しいものか、偏りがないか確認しましょう。
統計的なデータも反映させたり、客観的に情報収集が行えているか振り返ってみましょう。
情報の内容によってペルソナは大きく変わるので注意が必要です。
思い込みで作っていないか
ペルソナは具体的にイメージできる方が望ましいです。
その為に人物の背景を作りこんだり集めた情報から似た性格の友人等を反映させたりしてしまうと理想像や思い込みが混在してしまい正確なデータから外れてしまう事があります。
現実に基づいた情報から人物像を設定しなければいくら具体的なペルソナが完成しても根拠のある適切な販促効果を得ることができません。
人物像は集めた情報から説明できる範囲で作るように意識しましょう。
定期的にペルソナは見直す
ペルソナはあくまでも架空の人物像です。
ニーズは常に変化することがありますので、ペルソナと現実のニーズとの間にズレがないか定期的に見直す事が重要です。
特に興味関心といった心理的状況は時間経過や流行などで簡単に変化します。
実際に運用しながら最新の情報があれば更新しニーズからズレないように注意しましょう。
顧客に合わせたリピート施策を
「リピート施策」には初回購入時点からの引き上げや、定期購入の継続だけではなく、休眠顧客、優良顧客、現役客、半休眠、準優良顧客に合わせたアプローチなどいろいろなものがあります。
例えば休眠復活のメール施策を行う場合、一括で同じ内容を送信するより、
「何回購入しているか」
「何を購入しているか」
「何を購入していないのか」
「何歳を対象とするのか」
といったセグメントに分け、それぞれに適した内容を送信することにより反応率があがります。
セグメントやコンテンツを全て分けてしまうと膨大な時間が掛かってしまいますので、人数の少ないセグメントは顧客心理の近いセグメントとグループ化していきます。
施策後には必ず結果を確認し、想定とどれくらいの差があったか、その原因を考えていきます。原因に基づいて検証、テストを繰り返すことにより、その店舗だけの最適なリピート施策のノウハウが蓄積されていくのです。
ECサイトのリピート顧客を増やしたい方はCRMツールを導入しよう
EC通販の既存顧客を活性化し、リピート顧客を増やすために必要なことは、顧客分析を行い、CRM施策を実施することです。
分析を元にセグメントに適した施策を行うことで、リピート顧客を増やし優良顧客育成を行うことができます。
リピート率の最大化と優良顧客の育成・LTV向上にオススメなのは
弊社が提供するツール「うちでのこづち」です。
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施策の効果検証も簡単に行えます。
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