単品リピート通販とは?成功のポイントや市場規模など徹底解説

ECサイトの多様性が認められつつある現代において、特定の商品を購入し続けてもらう「単品リピート通販」は新しいビジネスの手法として注目されています。
単品リピート通販というビジネスモデルだからこそ成功するケースも増えてきているため、今後もひとつの選択肢として候補に挙げられていくでしょう。

そんな高い注目度を持つ単品リピート通販ですが、そのメリットを実際に自社コンテンツに活かしていくためには、事前にその特徴について把握しておく必要があります。
単品リピート通販ならではの特徴を知りつつ、その魅力を最大限に引き出していくビジネスモデルを構築することが、結果的に事業の成功を近づけるでしょう。

こちらでは単品リピート通販についての基本的な詳細と、成功のポイントを解説します。
新たなビジネスモデルの確立を考えているのなら、この機会に単品リピート通販という手法について把握してみてください。

単品リピート通販とは?


単品リピート通販とは、一種類・もしくは一部の商品を繰り返し購入してもらうためのビジネスモデルです。
買い物のたびに商品を選んでもらうのではなく、常に同様・同種の商品を固定でリピート購入してもらうことを目指します。
定期購入などの販売形態に近く、顧客と継続した関係性を築いていくのがポイントです。

単品リピート通販の特徴

単品リピート通販は、「リピート購入してもらうことを前提とした商品」を取り扱うのが特徴です。
1回の購入だけで終了ではなく、その後も長期的に顧客となってもらうための商品がメインとなります。
顧客に「この商品だから購入し続けたい」という感情を持ってもらうことが重要なため、多くの場合そこでしか手に入らないブランド商品やOEM商品が単品リピート通販の対象になるでしょう。

また、単品リピート通販の対象となる商品は、定期的に追加購入・補充が必要となるのが基本です。
日常生活において何度も必要になる、何度購入しても問題ないものを対象とすることが、単品リピート通販の特徴になっています。

このように目的と商品の性質がそのほかの販売スタイルと異なる点が、単品リピート通販の特徴です。

単品リピート通販が必要な理由とは

単品リピート通販というビジネススタイルは、現代のマーケティング事情に上手くマッチしている手法だと考えられます。
現代市場は既に把握しきれないほど商品の種類が多く、あらゆる業界から魅力的なアイデアが展開されているのが現状です。
新商品や改良品も時を待たずに次々と販売されているため、消費者もそのスピードについていくことを余儀なくされることがあります。
そういった商品情報の多さ・速さは、消費者にとっての負担になることがあるのです。

例えば自分の生活に必要な商品の情報を集めたり、商品購入のために新たなECサイトに個人情報を入力したりといった作業は、消費者が抱える負担の代表例となります。
消費者はこういった負担を知らず知らずのうちに感じてしまい、いつかストレスにつながっていく可能性があるのです。

そういった負担から消費者を解放できる可能性を持つのが、単品リピート通販というビジネスモデルとなっています。
単品リピート通販は、一度リピート購入を決めてもらえればそのまま商品を提供し続けることが可能です。
購入作業などの手間が省かれるため、消費者が購入にかける負担を軽減できます。
そういった理由から、単品リピート通販というビジネススタイルが必要とされはじめているのだと考えられるでしょう。

単品リピート通販の市場規模は拡大傾向にある

単品リピート通販の市場規模は、年々拡大傾向にあるのが特徴です。
2011年に約63億だったリピート通販の市場規模は、2016年には約2,900億円にまで拡大しているとのこと。
これはECサイトの新規作成が専用サービスによって容易になったことや、ネットやSNSを使ったプロモーション方法が豊富になったことなど、あらゆる要因が関係していると考えられるでしょう。
日本国内においてもECサイトによる買い物は一般的なものになっているため、今後も単品リピート通販の市場規模は拡大していくことが予想されます。

D2Cと単品リピート通販の違いについて

単品リピート通販は、D2C(Direct to Consumer)ともいくつかの共通点を持ちます。
D2Cとは、商品の販売時に広告代理店や小売店を経由しないで、直接消費者と取引をするビジネススタイルです。
直接自社ブランド商品を選んでもらえるという点などにおいて、単品リピート通販とD2Cは同様のメリットを持つと判断できるでしょう。

その一方で、単品リピート通販とD2Cは全く別の性質を持つことも分かっています。
それぞれの優れている点、劣っている点を把握し、自社コンテンツの性質と照らし合わせていくことで、より効果的なビジネスモデルを構築することも可能です。
以下からは、単品リピート通販とD2Cの違いについて解説します。

D2Cより単品リピートが優れている点

短期間で事業の成果を出しやすいという点では、D2Cよりも単品リピート通販の方が優れています。
単品リピート通販では、リピート購入してくれる顧客がある程度固定化されれば、安定した利益の確保につなげられるのが特徴です。
そのため最初のプロモーションが上手くいけば、新規参入でも多くの顧客を集めて短期間で成果を出すことができるでしょう。

一方で、D2Cは最初に消費者との関係性を築くのが難しいケースがあり、利益獲得の下地を作るまで時間がかかることがあります。
事業が波に乗るまで工夫が必要とされる点が、D2Cの特徴だと言えるでしょう。

D2Cが単品リピートより優れている点

D2Cは単品リピート通販と比較して、広告費を抑えつつ自然な売上の成長を見込めるという点で優れています。
デジタルなプロモーションは事業にとって必要な出費ですが、同時に事業継続の負担にもなるでしょう。
D2Cは自社にファンがつくことによって発生する売上にも期待ができるので、そういった負担を軽減しやすいと考えられます。

また、D2Cは単純な損得だけでなく、顧客から好意的な感情を引き出すことによって成立させることができるビジネスモデルでもあります。
一度自社商品のファンとして心をつかむことができれば、その後類似した商品が他社から販売されても、簡単には顧客が離れていかないというメリットがあるでしょう。
こういった「ファンとの関係性」という特徴は、単品リピート通販にも当てはまりますが、D2Cではより顕著にその影響が出やすいと考えられます。

単品リピート通販のメリット

単品リピート通販には、その特徴から多くのメリットが見出されています。
各メリットを理解することは、事業の具体的なプランの立案につながるでしょう。
以下を参考に、単品リピート通販のメリットを確認してみてください。

低コストで始められる

単品リピート通販は、低コストから始められるというメリットがあります。
基本的に限られた商品だけで事業を進めていくため、余分な生産費用や販売コストを削減しやすい傾向にあるのが単品リピート通販の特徴です。
複数の商品を展開する場合、商品ごとに資金と作業リソースを分散しなければなりません。
その点、単品リピート通販であれば、特定の商品に集中的に作業量および資金をかけられるので、最初から多くのコストを用意しなくても事業を開始できるのです。
小さなプロジェクトからでも利益を狙った事業を始められるのは、単品リピート通販のメリットになるでしょう。

また、生産や販売のコストを抑えられる分、商品そのもののクオリティ向上に資金を投入できるというメリットもあります。
ただコストを抑えて利益を確保するだけでなく、さらなる商品発展につなげる計画も立案できるのです。
将来的な事業の進路を幅広く考えられることも、単品リピート通販を実施する理由になり得るでしょう。

他社との価格競争が課題になりづらい

単品リピート通販は、他社の製品と価格競争になりづらい点でもメリットがあります。
一般的な仕入れによる販売を行っている場合、消費者は価格やお得さを参考に購入先を決めることになるでしょう。
そうなると企業には他社よりも販売価格を下げたり、お得な特典をつけて差別化したりといった行動が求められます。
そういった価格競争に巻き込まれると、予定していた利益確保の達成が難しくなるなどの弊害が考えられるようになるでしょう。

一方で、単品リピート通販にはその商品・企業にしかない「ブランド価値」が付与されているため、無理に価格を下げなくても顧客の購買意欲をつかみやすいという特徴があります。
そのため価格競争に巻き込まれにくく、独自の販売スタイルを維持しやすいと考えられるのです。
独自の価格設定を認めてもらえるだけのブランド価値を顧客に提示できれば、自社が想定する価格での販売を継続できるでしょう。

売上が安定するので経営計画が立てやすい

単品リピート通販は、一度軌道に乗れば売上が安定しやすいというメリットもあります。
顧客からの定期購入を前提とした販売になるので、売上が極端に上下することはありません。
売上予測が立てやすいので、長期的な事業戦略を考える際にも役立ちます。

生産管理もしやすいため、商品の在庫切れによって販売機会を失うといったトラブルも発生しづらいです。
安定して顧客に提供する商品を確保していけるという点でも、単品リピート通販にはメリットがあります。

商品の管理がしやすい

単品リピート通販には、商品の管理がしやすいというメリットもあります。
決められた商品だけを取り扱うため、形状やサイズに大きな差が出にくく、保管するためのスペースを計算しやすいです。
取り扱い商品次第では最小限の保管スペースだけで十分となるので、管理コストも抑えられます。
リピートされることが基本となるため、在庫を抱え過ぎてしまう危険性も少ないです。

単品リピート通販のデメリット

単品リピート通販にはメリットが多い一方で、いくつかのデメリットもあります。
事前に内容を把握し、対応できるように備えましょう。

新規顧客の獲得に工夫が必要

単品リピート通販は、新規顧客の獲得に工夫が求められるという難しさがあります。
特定の商品・ブランドだけに絞って販売を行うため、ある程度のプロモーション費用を考えておかなければならないでしょう。

単品リピート通販では、ただ新規顧客を見つければいいというわけではなく、その後も長期的に継続購入してもらう必要があります。
新規顧客を迎え入れる+継続して購入を続けてもらうという2点に気を配らなければならないことは、単品リピート通販のデメリットだと言えるでしょう。

ブランド・商品の認知に時間がかかることも

単品リピート通販では、ブランドおよび商品の認知に時間がかかることも多いです。
大きなECモールで販売するビジネスモデルとは違い、あくまで小規模の自社サイトでの販売がメインとなります。
そのため認知してもらうために広告費をかけたり、SNSなどによる地道な宣伝活動が必要になるでしょう。

事業のターゲットが限定的となる

単品リピート通販では取り扱う商品の数が絞られるため、販売ターゲットも限定的となります。
幅広い消費者に使ってもらうというよりも、特定の消費者に向けて訴求していく形が求められるでしょう。
ターゲットが限定的になるということは、選定を誤ると事業が上手くいかなくなるということでもあります。
市場や自社商品の分析は徹底的に行い、リピート購入をしてくれる可能性の高いターゲット層を考えるのが重要です。

単品リピート通販と一般通販との違いは?

単品リピート通販を始める際には、一般通販との違いを比較しておくこともポイントです。
一般通販にはない特徴を活かせるかどうかが、単品リピート通販の成否を分けることにもなるでしょう。
以下からは、単品リピート通販と一般通販の違いを改めて確認します。

違い①|自社オリジナル商品やブランドが軸

単品リピート通販では、自社オリジナル商品やブランドを軸に展開するのが基本です。
他社のさまざまな商品を仕入れる一般通販とは違い、目玉となる商品一種で事業展開をしていきます。
単品リピート通販は消費者に対して複数の商品を紹介することはできませんが、その分特定の課題の解決や環境に役立つ特化した商品をプレゼン可能です。
「この商品じゃないとダメ」という認識を消費者に持ってもらえる点が、単品リピート通販の特徴です。

一方で、一般通販は多数の商品・他社ブランドをまとめて取り扱うため、幅広い消費者をターゲットにして事業を展開します。
Amazonや楽天などの大手ECモールで販売されるのが一般的で、数多くの商品が購入の選択肢に挙げられるでしょう。
さまざまなシーンで購入に利用されやすい一方で、店舗そのものにファンがつきづらく、店としてのブランディングが難しい点が考えられます。

違い②|リピート販売を目的にした販売モデル

単品リピート通販は、その名の通りリピートによる購入を目的にした販売モデルです。
たくさんの人に広く使ってもらうよりも、本当に必要な人に何度も繰り返し購入してもらうことが最終的な目標となります。
リピート購入してくれる顧客との「関係性」を重視したビジネスモデルである点が、単品リピート通販の特徴です。

一般通販は商品数が多くて顧客の幅も広いため、基本的にリピート率は低くなります。
ECモールを利用する手数料なども考慮すると、利益率が低くなりやすいのも特徴です。
同種の商品が別のECサイトでさらに安く売られてしまうケースなどもあるので、継続して購入してもらうことは難しいビジネスモデルだと言えるでしょう。

違い③|自社ドメインや広告から販売ページが主流

単品リピート通販では、自社ドメインや広告を活用した販売ページで事業展開をするのが主流です。
すぐ商品購入ができるランディングページを作成して、検索や広告などを経由して消費者とやりとりを行います。
単品リピート通販ではターゲットがある程度絞られるため、販売ページの方向性を固めやすいのが特徴です。
徹底的なマーケティングを行って、求めるターゲット層を集客していくのがポイントになります。

一般通販はサイト規模が大きい分集客力が高く、多くの消費者に見つけてもらいやすい点がメリットです。
ただ購入がブランディングにつながりにくく、次回以降もリピートしてもらえるとは限りません。
また、カートに商品を入れたまま放置される「カゴ落ち」などのリスクもあり、スムーズに利益につながりにくい点があります。

単品リピート通販に向いている商品例


単品リピート通販は、特殊なビジネスモデルであるため「向いているタイプの商品」として挙げられるものがいくつかあります。
例えば以下のような特徴を持つ商品は、単品リピート通販に向いていると言えるでしょう。

・同じものを使い続けることに意味がある
・定期的に補充が必要
・代用品がない

こういった特徴を提示できれば、商品の希少性が高まり、リピート購入につながります。
具体的な商材で言えば、「化粧品」「健康食品」「雑誌」などが単品リピート通販向きです。

特に重要となるのが、代用品がないという商品のオリジナリティです。
別の場所や実店舗で簡単に買えてしまう商品を、わざわざ特定のECサイトで購入するケースは少ないでしょう。
そこでしか買えない商品の特徴や理由があるからこそ、単品リピート通販というビジネスモデルは成立するのです。

単品リピート通販を成功させるマーケティング戦略とは?


単品リピート通販を成功させるには、そのためのマーケティング戦略を立てる必要があります。
単品リピート通販に合ったマーケティング戦略を立てることができれば、事業の成功を近づけることができるでしょう。
以下を参考に、単品リピート通販を行う際に考えられるマーケティング戦略をチェックしてみてください。

トライアルセットやお試しを積極的に行う

単品リピート通販を実施する際には、トライアルセットやお試し品の提供を積極的に行うことが重要です。
いかに魅力的な商品を開発できても、消費者に知ってもらわなければその価値は認めてもらえません。
まずはトライアル・お試しといった形で提供し、とにかく商品を使ってもらうことがマーケティング戦略のポイントです。

商品を実際に使った人が増えていくと、口コミなどで少しずつ認知度が広がっていくことに期待できます。
結果的にECサイトへの流入や問い合わせを増やすことにもつながるので、まずは惜しむことなくトライアルセットやお試し品の提供を行っていきましょう。

定期コースで安定化

単品リピート通販を行う際には、定期コースを導入して利益の安定化を図ることも重要です。
初めて自社ECサイトを訪れた消費者は、その商品に興味があっても、実際にどれを購入すべきなのか判断ができないことがあります。
そういったときにあらかじめ決められている定期コースがあれば、消費者は安心して購入に進むことができるでしょう。
定期コースは消費者の心理を考慮し、複数のパターンを作成したり、初回にお得なコースを特別に設けたりといった工夫がポイントです。

クロスセルやアップセルを行う

単品リピート通販を続けていく際には、「クロスセル」や「アップセル」を狙っていくこともポイントです。
クロスセルとはこれまで購入していた商品とは違う商品を勧めることで、例えば化粧パックをリピート購入してくれている消費者に、化粧水をおすすめするといった方法が考えられます。
消費者がなぜその商品をリピート購入しているのかを分析し、その需要を満たせる別の方法をクロスセルで提示することも有効なマーケティング手法です。

アップセルとは、現在リピート購入されている商品よりも高価な商品を購入してもらう施策を意味します。
より効果の高い、グレードの高い商品を購入してもらうことで、消費者の満足度を高めることに期待可能です。
もちろん高価な商品の分利益率も高まるので、アップセルは単品リピート通販における長期的なメリットにつながるでしょう。

このようにずっと同じ商品をリピート購入してもらうのではなく、クロスセルやアップセルで消費者に積極的な提案を行っていくことも重要です。

CPOとLTV

単品リピート通販を実施する際には、「CPO」と「LTV」を意識したマーケティングを行うのもポイントです。
CPOとは「Cost Per Order」の略称で、一件の受注にかかったコストを算出する方法のことを指します。
コスト÷受注件数で割り出され、CPOを少なくしていくことが単品リピート通販の利益を確保していくコツです。

LTVは「Life Time Value」の略称で、顧客生涯価値と呼ばれる指標を意味します。
一人の消費者がどれくらいの売上を生み出すのかを計算するために使用され、このLTVを高めることが事業の利益を伸ばすことにつながるのです。
単品リピート通販においては、CPOとLTVを基本的な柱として、マーケティングに活かしていくことが考えられるでしょう。

まとめ


単品リピート通販は、今後も一つのビジネススタイルとして定着していくでしょう。
商品の種類によっては単品リピート通販による形式がピッタリとハマる可能性もあるので、本格的な検討はおすすめされます。
これから新たな事業展開を考えているのなら、この機会に単品リピート通販の特徴と魅力を確認し、自社プロジェクトへの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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