CDPとは?マーケティングにおける特徴や機能をわかりやすく解説

CDPは2017年頃から登場したとされており、社会が変化していくなかマーケティングの考え方を変える必要性が高まった結果生まれました。
今後の社会変化の加速に伴って、CDPが持つシステムの意味や考え方は重要視せざるを得なくなってきます。
本記事では、CDPの意味やCDPのメリット・活用方法などをわかりやすく解説していきますので、知らないという方やどのように活用すればよいかわからないという方にとって参考になれば幸いです。
INDEX
CDPとは
CDPとは、Customer Data Platform(カスタマー・データ・プラットフォーム)の頭文字を取って組み合わせた言葉で、日本語で直訳すると「顧客データ基盤」と言います。
その名の通り、お客様のデータ(情報)を管理するためのプラットフォーム(基盤)のことを指します。データの粒度は細かく、個人一人ひとりが持つ性別、出身、職業などの属性データからECサイト内での購買行動、購買履歴などの行動データまで多岐に渡ります。
今までのマーケティング戦略だった、不特定多数のデータ分析からのニーズ発掘に向けたデータ活用とは違う考え方のシステムになります。
CDPの重要性
CDPが重要視されている背景は主に2点あります。1つ目が購買行動に変化が起きている点、2つ目が多様なターゲット層に細分化された点です。
それぞれについて解説していきます。
購買行動の変化
現在はスマホなどのデジタル技術が発達し、直接店舗に行くこともなく検索・比較を行い、手元から商品を購入することが出来ます。また、それに伴いキャッシュレス決済など支払い方法も従来から変化が起きています。
この一連の行動はデータとして残り、保存されています。今までは市場分析する中で、アンケートやヒアリングなどのコミュニケーションと地道な作業が必要でしたが、現在では購買行動のデータを収集しやすくなっています。
データの収集・分析・活用に長けたCDPはマーケティングを効率的にし、潜在的なニーズを可視化してくれます。
多様なターゲット
従来ではコストが低いモノ、利便性が高いモノなどにニーズがあり、不特定多数に合わせた大量生産・大量消費がベースとしてありました。
しかし社会変化のなか、個人の価値観やライフスタイルが多様化していき、それに合わせてニーズも細分化されます。また、ただ安いモノだけではメリットが低く、個人に新しい価値をもたらす・価値を向上することが必要とされています。
不特定多数から個人の集合体にターゲットが変化したことで、データを活用し個人を深堀りしていくことは非常に重要です。
以上のような背景からCDPは重要度が高まっています。
CDPの特徴
ここではCDPの特徴を把握するためにも、メリットとデメリットについて解説します。
CDPのメリット
企業が保有する顧客データは、さまざまな形で点在しています。Webサイト上のログやECサイト上での購買行動、企業が活用しているシステム内などに散財し、また部門ごとに管理しているというケースも少なくありません。
CDPを導入すればそのような散財した顧客データを一元管理することができ、収集・分析を容易にしてくれます。多大に時間と労力をかけていたことが効率的になり、顧客ひとりひとりに応じたマーケティングに力を注ぐことが出来ます。
CDPのデメリット
新しいシステムの導入には、障害が複数考えられます。
システムの管理部門並びに責任者、社内での取り扱いルール、情報セキュリティのリスクなどがあります。良い側面だけをみて導入すると、現場が混乱してしまいかえって導入しなければよかったとなる恐れもあります。
しっかりと自社の課題と向き合って、導入するかどうかを見極めることが大切です。
CDPとDMPの違い
CDPによく似たプラットフォームにDMPがあります。
DMPはデータマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform)の頭文字を取って組み合わせた言葉で、インターネット上のデータを管理するプラットフォームです。
大きな違いは、収集するデータの特性になります。DMPは匿名のデータを収集するのに対し、CDPは個人のデータを収集するのでCDPの方が詳細なデータとなります。
また、DMPにはパブリックDMPとプライベートDMPと2つの要素に分けることができ、それぞれについても解説します。
パブリックDMPとは
パブリックDMPは別名オープンDMPとも呼ばれ、インターネット上におけるデバイス情報、IPアドレス、Cookieなどから匿名データを収集します。
これらの匿名データを3rd Partyデータと言い、第三者が収集した膨大なデータをいろいろな形で企業に提供していることからそのように呼ばれています。
データが膨大という特徴があるため、新規顧客開拓や広告などのデジタルマーケティングに活用されます。
プライベートDMPとは
プライベートDMPは、ある一定の環境内における個人データを収集・管理するプラットフォームになります。この個人データのことを1st Partyデータと呼び、個人特性・購買行動などを指します。
自社で収集した個人データを活用するという点で、CDPと同じもののように感じますが、プライベートDMPは広義的な意味合いを持ちます。
CDPは個人データをさまざまなデータと掛け合わせ、顧客個人情報に特化させたプラットフォームです。
CDPとの関連性
ここまで、CDPとパブリックDMPの違いについて見てきました。CDPは主に自社で収集した個人データのこと。DMPは匿名のデータで、外部サイトから収集したものを「パブリックDMP」自社サイトで収集したものを「プライベートDMP」と呼びます。
DMPは他社サイトの閲覧履歴などから、行動履歴を収集できるため母数が大きく新規顧客開拓などのデジタルマーケティングに活用できます。それに対し、CDPは個人情報に紐づいた行動履歴まで収集できるため、より深く顧客を理解することが可能です。
この様に、CDPとパブリックDMPは補完関係にありますが、使用目的はそれぞれ異なります。
CDPの機能
CDPには収集・統合・分析の3つの機能があります。それぞれについて詳細に解説します。
データ収集
CDPの存在意義とも言えるデータ収集機能です。
顧客の属性・購買行動・趣味・嗜好・検索履歴など事細かにデータを収集することが出来ます。Webサイト上でのログなども収集可能で、興味・関心・購入ステップなども分かります。
また、店舗のPOS(レジ)データと連携すれば、オンライン・オフライン両面でのデータの収集が可能です。多角的な情報は、顧客をより客観的に可視化し、理解度を高め潜在的なニーズを深堀り出来ます。
データの統合
2つ目の機能は、収集したデータと顧客ごとのID(識別番号)を紐付ける統合機能です。
IDを作成し紐付けることで、顧客個人情報が具体性を持ち、よりターゲットのことを認識することが出来ます。また、データ管理の面でいうと情報が整理整頓され、加工しやすくなります。
後工程の分析を精度高く行え、マーケティングの効果を高めることにもつながります。
収集・統合したデータの分析
データ収集と同じくらい重要なのが、分析です。
収集・統合したデータからターゲットを絞り出し、紐付けられた情報から傾向・ニーズを解析します。特に趣味・嗜好・購買行動の分析は、価値観やライフスタイルが多様化した社会におけるニーズ把握の大きなヒントになるでしょう。
CDPの意義はデータ収集にありますが、CDPの目的はマーケティング施策への活用です。個人ひとりひとりに最適なアプローチをするためにも精度高い分析は重要です。
CDPの導入後にすること
CDPの目的はマーケティングへの活用です。その効果を最大限活かすためにも、導入後にすべきポイントを解説します。
ターゲットに合わせた施策
収集・統合・分析ができれば、深い顧客理解につながります。
ニーズだけでなく、検索・興味・比較・検討などの購買行動も把握することが出来るので、購買ステップに適したアプローチを掛けることが可能です。
例えば、コンテンツの配信により商品への興味を増大させたり、比較・検討段階なら商品の優位性や購入のメリットを伝えて購買意欲を促したり、また、商品購入後の顧客に対しては、アフターフォローの連絡や類似商品に使用できるクーポンの配布などがあります。
個人ひとりひとりの状況や心情に合わせた最適なアプローチは、ビジネスの拡大だけでなく顧客にとってその会社の付加価値向上にもつながるでしょう。
データ分析の最適化
企業の顧客データはさまざまな場所に点在しています。
システム内などのオンライン上や個人のPCの中、デスク・キャビネット内などのオフライン上にもあります。業務を効率的にするためにも、CDPで一元管理することは非常に重要です。
情報量という面でも重要ですし、CDPさえ確認すればよいという状態がデータ分析において大切になります。
データ分析は地道な作業で、時間と労力が何時間・何週間と掛かってしまっても不思議ではありません。現在はニーズの移り変わりのスピードが速いので、あまりにも時間を掛けてしまうと方向性を誤ったりニーズが陳腐化する可能性があります。
競争における優位性を確保するためにもCDPを活用し、PDCAをハイサイクルで回せる仕組みを構築しましょう。
組織間の共有
効率化という点でもう一つすべきポイントが、組織間の共有です。
マーケティング部署内での活用に留まらず、関連部署やモノによってはグループ・子会社などへの共有も必要になります。
商品は企画から設計、調達、生産、物流、販売まであらゆる部署が関係してきます。関連部署が多ければ多いほどデータ活用の恩恵は大きく、業務の効率化や業務改善への直接的な効果があります。
また、直接業務に関係なくても、誰のための商品なのかを理解することによって、商品に対する顧客のアクションを意識するようになったり、よりよいモノを届けるために新しいアイデアが生まれたりなど、副次的な効果にも期待できます。
CDPと他マーケティングツールの違い
CDPは顧客情報データの収集・統合・分析に活用するプラットフォームなので、あくまでマーケティングを支えるシステムになります。
その他のマーケティングツールの代表格であるCRMやMAツールには、直接顧客に働きかけることができる機能があることが、CDPとの違いになります。
例えば、メール作成機能やチャットボット機能・自動配信機能などアプローチに顧客との関係性構築に活用される機能があります。
よってCDPと他マーケティングツールを連携させることは、マーケティング効果をさらに高めることにつながります。
ツール同士の連携によるシナジー
CDPを導入したら、他のマーケティングツールも導入し連携することをおすすめします。特にCRMやMAツールはCDPとの相性がよく、もたらす効果を最大限高めることができるでしょう。
CDPで収集・統合・分析した結果を他のツールに公開し、MAやCRMはそれを元に最適なアプローチをかけるためにコンテンツを配信したり、ステップメールを配信し顧客を育成したりすることが出来ます。
また、アプローチもツールが行ってくれるので業務が効率化出来ます。ぜひ、CDPと一緒にCRM・MAツールを導入し、課題解決に生かしてみてください。
まとめ
CDPは社会変化に伴う市場の変化により重要度が高まっているプラットフォームです。
個人の価値観やニーズが複雑化した今、CDPは顧客データを収集・統合・分析し、ニーズを掘り起こしマーケティングを支える手助けをしてくれます。
また、他のマーケティングツールと連携させることでその効果を高めてくれますので、PDCAを効率的に回し、自社の課題解決に役立ててください。
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