自社ECサイト運営で知っておきたい基礎知識とモール型ECサイトとの比較

「自社でECサイトを立ち上げようか?」「ショッピングモールにしょうか?」と悩んではいませんか?

楽天市場やAmazonなどのショッピングモールは、集客力やブランド力が優れている反面、独自のマーケティング施策が難しく、モール内の価格競争が懸念されます。

以前であれば、自社でECサイトを構築するのは、最初からフルスクラッチでシステムを組み、それを定期的に見直すという時代がありました。しかし、現代は自社ECサイトの構築方法も多数あり、比較的低価格なASPサービスからECパッケージを利用するなどその敷居はグンと下がっています。

この記事では、自社ECサイトのメリット・デメリットからモール型ECサイトとの比較までを詳しく解説します。

自社ECサイトとは?

ECとはElectronic Commerceの略で、インターネット上でサービスや商品を売買をすることを意味します。具体的には、ネット通販、ネットショッピングで商品やサービスの売買に使われます。

EC構築には大きく2つの方法があり、企業が自社でECサイトを立ち上げる自社ECサイトと、ひとつのECサイトの中に複数のショップが出店するモール型ECサイトがあります。自社ECサイトがインターネット上の店舗とすれば、モール型ECサイトはショッピングモールのようなイメージです。

どちらの方法を選ぶかによって、制作コストやデザイン、機能が異なります。

自社ECサイトとモール型ECとの違い、メリット・デメリット

自社ECサイトとモール型ECサイトには、それぞれメリット・デメリットがあります。ECサイトを立ち上げる前にそれぞれの特徴を知っておきましょう。

自社ECサイトのメリット

自社ECサイトは1からサイトを構築することが出来るのが特徴です。自社のブランディングやWEBマーケティングを自由に行うことができます。他にもさまざまなメリットがありますので、以下、具体的にご紹介します。

自社のブランディングが可能

自社ECサイトは、モール型ECサイトに比べて柔軟にサイトを作ることができます。なのでサイト自体を商材のコンセプトに合わせるなどのブランディングを確立させやすいのが特徴です。

ブランディングを確立させることによって、ブランドをしっかりアピールすることが出来るので、他の自社ECサイトやモール型ECサイトなど競合と差別化を図ることが可能です。

利益率が高い

モール型ECサイトを利用する場合には、運用元によって多少の違いはありますが出店料などの手数料が発生します。

それに対し、自社ECサイトであれば全て自社でサイトの運営をおこなっているので、サイトさえ立ち上げることができれば、あとはシステムの管理費のみで運営が可能です。モール型ECサイトのような値下げ合戦に陥る可能性も低く、利益をそのまま自社に還元することができます。

デザイン・機能が自由

モール型ECサイトを利用する場合、デザインやシステムをそのサイトに合わせなければいけません。その点、自社ECサイトであれば、デザインや機能などを自由に作ることができます。

また、ユーザーの反応に合わせてサイトの改修や追加の開発も柔軟に行うことができるので、PDCAサイクルをスピーディーに回すことが可能です。

データ活用が容易

自社でサイトを立ち上げているので、さまざまなデータを収集・活用できることも大きなメリットです。アクセス解析によってユーザー層などのデータを把握することができ、より効率的なマーケティング戦略を立てていくことが可能になります。

さらにユーザーのニーズをより深く把握することができるので、リピート率を上げる施策も打つことができます。

自社ECサイトのデメリット

自社ECサイトはブランディングが自由にできたり、利益率が高い反面、成果が出るまでに期間を要するなどのデメリットがあります。

具体的にどの様なデメリットがあるのかを以下でご紹介します。

集客を自社でしなければならない

自社ECサイトは、モール型ECサイトと比べて集客力は劣ってしまいます。なぜかというと、モール型ECサイトの方が知名度があるためです。

自社ECサイトで集客力を高めるための方法として、SEOやWEB広告、アフィリエイトなどといったWEBマーケティングの活用が大切になってきます。そのためWEBマーケティングの知識や広告費用が必要になります。

成果が出るまでの期間が長い

自社ECサイトはモール型ECサイトと違い、1からサイトの制作・運営をします。なので費用がかかる割には成果が出るまでにある程度の時間がかかってしまいます。

サイトへの訪問者数の増減や、商品のリピート率などの情報をしっかりと分析し、PDCAサイクルを回しながら時間をかけて実績を積み上げていくことが大切です。

担当者のスキルで結果が変わる

自社ECサイトでは、全てを自社でEC構築する特性上、サイト制作の担当者の能力やセンスによってパフォーマンスに大きく差が出てしまいます。

良いサイトを作るためにはEC構築や運営に関する知識が必須です。そのためセミナーや勉強会に参加させるなどの人材育成をおこなう必要があります。

モール型ECのメリット

モール型ECサイトはモール自体に強い知名度があり、利用者も多いので集客を容易に行うことができます。他にもいくつかのメリットがあるので、以下具体的にご紹介します。

集客力がある

モール型ECサイトは自社ECサイトに比べて集客力があります。なぜならモール自体の知名度がすでに高く、多くのユーザーを抱えているためです。

ユーザー数の多さから、商材が顧客の目に留まるまでが早いのも特徴のひとつです。また、期間限定セールなどの定期的に行われるモール独自の販促イベント等も新規の顧客を集める大きなきっかけとして効果的です。

短期間で出店できる

モール型ECサイトは、出店者向けにECサイト構築のプラットフォームがあり、それに従って作業を進めていくだけで簡単に出店ができます。

自社ECサイトに比べて短期間で出店でき、サイトの構築方法やWEB制作の専門的な知識などを詳しく知らなくても簡単に出店することが可能です。

信頼性・知名度が高く安心できる

大手のモール型ECサイトになると、サイト自体の知名度が高く、多くの方が利用しています。

ネットショップや通販を利用して商品を購入する場合、名前も知らないサイトから購入するよりも、利用しているユーザーが多いサイトの方が安心して利用できるでしょう。

モール型ECサイトは利用者も多く、セキュリティの心配も少ないので安心して出店することができます。

モール型ECのデメリット

さまざまなメリットを受けることができる反面、利用料などの費用がかかってしまうなどのデメリットもあります。いくつかを以下でご紹介しますので、モール型ECサイトに出店を検討している方は、しっかり確認しておきましょう。

競合が多く価格競争になりがち

モール型ECサイトでは、同じ商品をたくさんのECサイトが取り扱います。ユーザーは同じ商品をモール内で比較・検討することができるため、値下げ競争になってしまうケースがあります。

人気があったり有名な商品ほど値下げ競争は激しくなり、利益率も減ってしまう懸念があります。

販促費用やコミッションなど費用がかさむ

モール型ECサイトに出店する場合、出店料や月額利用料の他に、ロイヤリティや売り上げに応じたコミッションなどさまざまな費用が発生します。

いざ出店してみても売り上げのわりに利益が出ないといった場合があるため、出店する前にどの程度の費用がかかるのかをしっかり把握しておくことが大切です。

ショップのブランディングが難しい

モール型ECサイトは知名度が高すぎるが故に、ショップ自体のブランディングが難しい傾向にあります。

ユーザーはモール型ECサイトを利用したとき、その「モールで買った」という認識はありますが、その中のどこのショップで買ったかまでは気にしていないことがほとんどです。

自社ECサイトと比べてオリジナリティを出したり、他のショップとの差別化を図ることが難しい点も留意しておく必要があります。

自社ECサイトの構築方法と費用について

ひとくちに自社ECサイトの構築といっても「フルスクラッチ」「ECパッケージ」などさまざまな方法があります。どの構築方法でサイトを立ち上げるかによって、かかってくる費用も大きく変わってきますので、確認しておきましょう。

1.最初から自由にECサイトを構築する:フルスクラッチ

フルスクラッチとはゼロからECサイトを設計する方法になります。デザインや機能面などを自由に設計することができるので、自社のブランディングや使用しているシステムに合わせたオリジナルのサイトを作ることができます。

年商50億円を超えるような、大規模ECサイトを作成したい事業者に向いている構築方法になります。

フルスクラッチのメリット

ECフルスクラッチのメリットを以下の3つの点で挙げることができます:

  1. カスタマイズ性の向上: ECフルスクラッチでは、システムをゼロから構築するため、企業の独自の要件やビジネスモデルに合わせたカスタマイズが容易です。既存のプラットフォームやテンプレートでは対応できない特別な機能やデザインを実現することが可能です。

  2. 拡張性と柔軟性の向上: フルスクラッチでECシステムを構築することで、将来の拡張や変更に対して柔軟に対応できます。新たな機能や統合システムの追加、異なる販売チャネルへの展開など、ビジネスの成長や変化に合わせてシステムをスケーリングすることができます。

  3. セキュリティとデータ管理の強化: フルスクラッチのECシステムは、セキュリティとデータ管理の面で高いレベルの保護が可能です。自社のセキュリティ基準や規制要件に適合したセキュリティ機能を組み込むことができ、顧客情報や取引データの安全性を確保することができます。

ECフルスクラッチは、企業の個別のニーズや要件に合わせた柔軟なECシステムの構築を可能にし、競争力を向上させるメリットがあります。ただし、フルスクラッチの開発には時間とリソースが必要であるため、それらを適切に計画し、実施することが重要です。

フルスクラッチのデメリット

フルスクラッチのデメリットを以下の3つの点で挙げることができます:

  1. 開発にかかる時間とコスト: ECフルスクラッチの開発は、ゼロからシステムを構築するために多くの時間とリソースを要します。システムの要件定義、設計、開発、テストの各段階において手間がかかり、プロジェクトの遅延や予算の超過のリスクが伴います。

  2. リスクと品質管理の責任: フルスクラッチの開発では、すべての側面を自社で管理する必要があります。システムの品質管理やバグ修正、セキュリティの確保など、全体の責任が企業に帰属します。適切な開発スキルとリソースが不足している場合、品質やセキュリティのリスクが生じる可能性があります。

  3. アップデートと保守の負担: ECフルスクラッチのシステムを継続的にアップデートや保守する負担は大きいです。新しい機能の追加やバグ修正、セキュリティパッチの適用など、システムの最新化や継続的な改善を行うためのリソースや時間が必要です。これには専門知識と技術的なサポート体制の確保も求められます。

ECフルスクラッチの開発は柔軟性やカスタマイズ性を高める一方で、時間とコスト、リスク管理、保守の負担が課題となります。企業はこれらのデメリットを考慮し、フルスクラッチの開発手法を採用する際に慎重に計画を立てる必要があります。

2.ECの基本機能にカスタマイズ:ECパッケージ

ECパッケージとは、EC構築に必要なシステムがパッケージ化されているソフトを使用してECサイトを設計する方法です。

最初からサイトの立ち上げに必要なシステムが含まれているので、フルスクラッチと比べて開発費用や期間を短くすることができます。初期コストも500万円〜とフルスクラッチに比べてかなり安価で、年商1億円程度のECサイトを構築したい事業者に向いている構築方法になります。

システムがパッケージ化されているといっても、自由度が低いわけではなくパッケージに無い機能については機能の追加を行うことができます。なので事業者のイメージに合わせたオリジナリティのあるサイトを設計することができます。

ECパッケージのメリット

ECパッケージのメリットについて以下の3つの点で挙げることができます。

  1. 迅速な導入と簡易性: ECパッケージは、既に開発・テストが完了しており、パッケージ化されているため、導入が迅速で簡単です。必要な機能や基本的な設定がすでに含まれており、カスタマイズが少なくても基本的なECサイトの構築が可能です。これにより、導入プロセスの効率化とスピーディな立ち上げが実現します。

  2. コスト効率の向上: ECパッケージは、開発コストや人件費を削減できるため、コスト効率が高いです。カスタマイズや機能追加が必要な場合でも、パッケージベンダーがサポートやアップデートを提供してくれる場合があります。また、パッケージのライセンス費用もカスタム開発に比べて低く抑えられることが多いです。

  3. 安定性と信頼性: ECパッケージは、多くのユーザーによって利用され、テストやバグ修正が行われているため、安定性と信頼性が高いです。セキュリティの面でも、パッケージベンダーがセキュリティパッチやアップデートを提供している場合があり、最新の脆弱性に対する保護が行われます。これにより、顧客情報や取引データのセキュリティを確保することができます。

ECパッケージは、迅速な導入、コスト効率の向上、安定性と信頼性の確保というメリットを提供します。ただし、パッケージの機能や柔軟性が限定される場合もありますので、企業のニーズや要件との適合性を慎重に評価する必要があります。

ECパッケージのデメリット

ECパッケージのデメリットととして以下の3つの点が挙げられます。

  1. カスタマイズの制限: ECパッケージは、汎用的な機能や設定を提供していますが、企業独自の要件に完全に合致しない場合があります。カスタマイズが必要な場合、パッケージの制限や制約によって柔軟性が制限される可能性があります。特定の機能やデザインの追加や変更を行いたい場合には、制約を超えるための追加の開発が必要になることもあります。

  2. 他社との差別化の難しさ: ECパッケージは、多くの企業が利用しているため、デザインや機能が類似していることがあります。競争の激しい市場で他社と差別化するためには、パッケージの範囲内でのカスタマイズやブランド独自の要素の強化が必要です。ただし、パッケージの制約があるため、他社との差別化を追求するのは一定の難しさがあります。

  3. アップデートへの依存: ECパッケージは、定期的なアップデートが行われることがあります。新しい機能やセキュリティの強化が提供される一方で、アップデートによって既存の機能やカスタマイズが影響を受ける可能性もあります。アップデートの管理と影響評価を行う必要があり、予期せぬ問題が生じる可能性もあります。

ECパッケージのデメリットとして、カスタマイズの制限、他社との差別化の難しさ、アップデートへの依存が挙げられます。企業は自社のニーズや要件とパッケージの特性をよく理解し、パッケージを選択する際にこれらのデメリットを考慮する必要があります。

3.費用がかからず運用可能:オープンソース

オープンソースとはその名の通り、オープン(インターネット上に公開されている)なECサイト構築のプログラムを利用してECサイトを設計する方法です。

年商1億〜5億円のECサイト作成に向いている方法で、初期費用は0円〜となっています。無料で公開されているプログラムコードを使用するので初期費用がかからない、機能の追加や拡張が自由にプログラムできるのが最大の特徴になります。

オープンソースのメリット

オープンソースのメリットを以下の3つの点で挙げることができます:

  1. 自由度とカスタマイズ性の高さ: オープンソースソフトウェアは、ソースコードが公開されており、自由に利用・改変・配布することができます。このため、自社のニーズに合わせてソフトウェアをカスタマイズし、自由度の高いシステムを構築することが可能です。既存の機能の拡張や独自の機能の追加、デザインの変更などが容易に行えます。

  2. コミュニティとの連携とサポート: オープンソースソフトウェアは、広範なコミュニティによってサポートされています。開発者や利用者が情報や経験を共有し、問題解決や技術的なサポートを提供します。コミュニティの活動やフィードバックによってソフトウェアの改善が進められ、バグ修正やセキュリティパッチの提供が行われるため、安定性と信頼性が向上します。

  3. リソース活用: カスタマイズや導入の際には、既存のコミュニティや開発者の知見や成果物を活用することができます。これにより、ソフトウェアの導入や開発にかかるコストを削減し、リソースを他の重要な領域に活用することができます。

オープンソースは、自由度とカスタマイズ性の高さ、コミュニティとの連携とサポート、というメリットを提供します。企業はオープンソースの活用を検討する際に、これらのメリットを考慮し、自社の要件や戦略に適した選択を行うことが重要です。

オープンソースのデメリット

オープンソースのデメリットとして以下の3つの点で挙げることができます。

  1. サポートの不確定性: オープンソースソフトウェアは、コミュニティによってサポートされていますが、サポートのレベルやタイミングは一定ではありません。開発者やコミュニティのリソースや関心に依存しており、問題解決やサポートの速度や品質が保証されない場合があります。企業は、適切なサポート体制を確立する必要があります。

  2. セキュリティリスクの懸念: オープンソースソフトウェアは、多くの人がアクセスできるため、セキュリティ上のリスクが存在する可能性があります。バグや脆弱性が見つかった場合でも、その修正やパッチの提供が遅れることがあります。企業はセキュリティのリスク評価を行い、積極的なセキュリティ対策を実施する必要があります。

  3. 専門知識やリソースの必要性: オープンソースソフトウェアの導入やカスタマイズには、専門的な知識や技術リソースが必要となる場合があります。特に企業が自社でソフトウェアの開発や保守を行う場合には、開発者の技術力やリソースの確保が求められます。これには追加のコストや時間がかかる可能性があります。

オープンソースソフトウェアのデメリットとして、サポートの不確定性、セキュリティリスクの懸念、専門知識やリソースの必要性が挙げられます。企業はこれらのデメリットを考慮し、自社のニーズや要件に適したソフトウェア戦略を慎重に検討する必要があります。また、十分なリソースを投入し、適切な対策やサポート体制を整えることが重要です。

4.安価に早くEC構築ができる:ショッピングカートASP

ショッピングカートASPとは、ECサイト構築に必要なプラットフォームをレンタルしてECサイトの設計を行う方法です。

最初からシステムが構築されているので、短期間でサイトの立ち上げをすることができること、常に最新のシステムを利用できることが特徴です。モール型ECサイトと比べると初期費用も1万円〜など安価に抑えることができます。

年商1億までのサイト制作に向いていて、個人事業主やこれから試験的にECサイトの立ち上げを考えている事業者などが利用しやすい方法になっています。

なかには、初期費用・月額費用がかからない無料のカートASPもありますので、自社にあったカートASPを選ぶことができます。

安価に始めることができるカートASPですが、自社のブランディングに合わせた機能の追加やカスタマイズができないので注意が必要です。

ショッピングカートASPのメリット

ショッピングカートASP(Application Service Provider)のメリットを以下の3つの点で挙げることができます。

  1. 簡単な導入と運用: ショッピングカートASPは、クラウドベースのサービスとして提供されるため、導入や運用が比較的簡単です。サーバーやインフラのセットアップや管理を行う必要がなく、ベンダーがシステムのメンテナンスやセキュリティパッチの提供を行ってくれます。これにより、企業は迅速にオンラインストアを立ち上げることができます。

  2. スケーラビリティと柔軟性: ショッピングカートASPは、需要の変動に柔軟に対応することができます。ベンダーが高いパフォーマンスと可用性を確保するために必要なリソースやインフラストラクチャを提供してくれます。需要が増加した場合でも、サーバーのスケールアップや負荷分散などの対応が行われるため、サイトの安定性とパフォーマンスが維持されます。

  3. 専門的なサポートとセキュリティ: ショッピングカートASPは、セキュリティに特化した専門的なサポートを提供しています。クレジットカード情報の暗号化やセキュリティ対策、定期的なバックアップなどのセキュリティ管理をベンダーが行ってくれます。また、技術的な問題や疑問に対しても、専門のサポートチームが迅速かつ効果的に対応してくれます。

ショッピングカートASPのメリットとして、簡単な導入と運用、スケーラビリティと柔軟性、専門的なサポートとセキュリティが挙げられます。これらのメリットにより、企業は効率的かつ安全なオンラインストアを運営することができます。

ショッピングカートASPのデメリット

ショッピングカートASPのデメリットとして以下の3つの点で挙げることができます。

  1. 制約されたカスタマイズ: ショッピングカートASPは、既存のテンプレートや機能に基づいてカスタマイズする必要があります。一部の独自の要件やデザインニーズに対応しづらい場合があります。

  2. 依存性と制限: ショッピングカートASPを利用する際は、自社のオンラインストアがベンダーに依存することになります。ベンダーがサービスを終了したり、制約を設けたりする場合には影響を受ける可能性があります。

  3. 追加コストと料金: ショッピングカートASPの利用には、月額やトランザクションごとの料金がかかる場合があります。特定の機能やサポートレベルにアクセスするためには、追加の費用が必要となることもあります。

これらのデメリットには、制約されたカスタマイズ、依存性と制約、追加コストと料金があります。企業はこれらの要素を考慮し、自社のニーズと予算に合った最適なショッピングカートASPを選択する必要があります。

5.フルカスタマイズ可能:クラウドEC

クラウドECとは、クラウド上にあるプラットフォームを使用してECサイト構築を行う方法です。必要な機能を必要なときに利用することができるため、常に最新のシステムでサイトの設計がおこなえます。

年商規模は1億〜20億円と幅広いサイト作成に使え、初期費用も300万円〜と比較的安価に使用することができます。

ここまで見ていると「ショッピングカートASPと何が違うの?」と思いますよね。この2つの大きな違いとしては、カートASPが機能の追加やカスタマイズができないのに対し、クラウドECは自由に機能の追加をすることができる点です。

イメージとしてはカートASPとフルスクラッチなどの良いところどりをしたような構築方法になります。しかし、自由度が高い分カートASPと比べるとコストがかかってしまいます。

クラウドECのメリット

ラウドECのメリットを以下の3つの点で挙げることができます:

  1. 拡張性と柔軟性: クラウドECはスケーラブルなインフラストラクチャを提供し、需要に応じて柔軟にリソースを拡張することができます。急激なトラフィック増加時にも安定したパフォーマンスを維持でき、成長や変化に迅速に対応することが可能です。

  2. 低コストと効率性: クラウドECでは、ハードウェアやインフラストラクチャの導入やメンテナンスにかかる費用を削減できます。また、自動化されたプロビジョニングや管理機能により、運用コストを低減し、従業員の生産性を向上させることができます。

  3. 高い可用性とセキュリティ: クラウドECは、冗長化されたサーバーインフラストラクチャやデータのバックアップ、セキュリティ対策を提供します。これにより、サービスの高い可用性とデータの安全性が確保されます。また、セキュリティパッチやアップデートの自動適用により、最新のセキュリティ対策が保たれます。

クラウドECは拡張性と柔軟性、低コストと効率性、高い可用性とセキュリティなどのメリットを提供し、ビジネスの成長とオンラインストアの成功に貢献します。

クラウドECのデメリット

クラウドECのデメリットを以下の3つの点で挙げることができます:

  1. 依存性と接続性: クラウドECを利用する場合、インターネット接続が必須となります。接続に問題が発生した場合、サービスへのアクセスや取引処理が中断される可能性があります。また、クラウドプロバイダに対する依存性も高まります。

  2. データセキュリティとプライバシー: クラウドECでは、顧客データや取引データがクラウド上で管理されます。データの保護とプライバシーの確保は重要ですが、セキュリティリスクやデータ漏洩の懸念が存在します。十分なセキュリティ対策とデータ管理の注意が必要です。

  3. カスタマイズと柔軟性の制約: クラウドECは標準化されたプラットフォームを提供するため、独自のカスタマイズや機能追加が制限される場合があります。特定の要件やニーズに対応するためには、柔軟性に制約があるかもしれません。

クラウドECのデメリットとして、依存性と接続性、データセキュリティとプライバシー、カスタマイズと柔軟性の制約があります。これらの要素を考慮し、自社のビジネスニーズとリスク管理のバランスを慎重に評価する必要があります。

自社ECサイトかモール型ECどちらを選ぶか?

ここまで自社ECサイト、モール型ECサイトのメリットとデメリットを見てきましたが、実際にサイトを立ち上げる場合どちらの方法を選べば良いのでしょうか?選ぶ際に注意して欲しいポイントを紹介します。

商品アイテムから考える

ECサイトでどんな商品を売りたいかによって、どちらでサイトを立ち上げるべきかが変わってきます。例えば、売りたい商品がブランド品であったり、利用者が少ないニッチな領域の商品のようなユーザーが「指名買い」してくれる商品は、ユーザーがブランドや商品の世界観にあったショップから購入する傾向があるため、自社ECサイトの方が適しています。

一方で「こういう機能がある商品が欲しい」というように欲しいジャンルは決まっているけど、実際にどの商品を買うかは決まっていないユーザーは、サイト内で比較しながら購入する傾向があるためモール型ECサイトの方が適しています。

将来を見据えたビジネス展開で考える

ブランド品やニッチな領域の商品を販売する場合であっても、まだそれほど知名度が高くない状態だとその商品を見つけて、購入してくれるユーザーは多くないでしょう。なので自社が置かれている状況を鑑みてどちらのECサイトを選ぶか考える必要があります。

例えば、将来的に自社のブランド力を強みにしたい場合でも、知名度が低いうちはモール型ECサイトに出店し、知名度が増えたところで自社ECサイトに移行するといった戦略をとることも可能です。

将来的に見据えているビジネスモデルにどうすれば近づけるかを軸に、どちらのECサイトが適しているか検討するのも1つの方法です。

自社ECサイトとモール型ECを同時運営を視野にいれる

事業者の中には、自社ECサイトとモール型ECサイトの両方でサイト運営をしているところも少なくありません。

モール型ECサイトへの出店を広告施策の1つとして、新規顧客や商品の知名度を獲得します。そして自社ECサイトでは、過去の購入履歴などの情報をもとにDMやメルマガを送ることでリピーターの育成を狙うことができます。

どちらも運営するので費用はかかってしまいますが、双方のメリットをうまく利用した販売戦略をとることができます。

自社ECサイトで成果を出すための3つのポイント

ショッピングモールに比べて、集客力に劣るといわれる自社ECサイトですが、独自のマーケティング施策をするために、どうしても自社でECサイトを導入したいという場合も多いでしょう。

ここでは、自社ECサイトで成果を出すために重要な3つのポイントについて詳しく解説します。

1.集客力を上げる

集客力や知名度を上げるのが難しい自社ECサイトにとって、集客力を上げる施策はとても重要です。複数の集客施策をおこないアクセス数の増加させる必要があります。

具体的な集客施策としては、TwitterやインスタグラムなどのSNSを通して商品情報を発信したり、WEB広告などを入稿する、SEO(検索エンジン最適化)対策などがあります。これらを活用し、時間をかけて集客力を上げていきましょう。

2.CV率を上げる

CV率とはConversion Rate(コンバージョンレート)の略でサイトへの訪問数のうち、どれほどの人が商品を購入してくれたかを割合で表したものです。平均値は2〜3%程度になっており、この割合を高めることが重要です。逆に自社で運営しているサイトがこの値を下回っているようであれば対策を講じる必要があります。

CV率が低くなってしまう主な要因としては、ユーザーの目線を欠いたサイトになってしまっていたり、商品の購入までのプロセスが多かったりするなど、サイトの構造に問題があることが多いです。せっかくサイトを見てくれてもユーザーの欲しい情報がすぐ手に入らないと、ユーザーはすぐそのサイトから離れてしまいます。

情報が分かりやすく、購入しやすいサイトになっているかをユーザー目線で確認することが大切です。

3.リピート購入を促す

集客力とCV率を高めても、購入するのが新規顧客だけでは継続的な売上を見込むのが難しくなっていきます。そのため、新規顧客からいかにリピーターを獲得し、売上を安定させるかを考える必要があります。

新規顧客を獲得するのと比べ、リピーターを獲得する方が広告費などの費用も安く済ませることが可能です。積極的にリピーターの獲得をおこないましょう。リピーターを獲得する主な施策としては、購入してくれた顧客の情報をもとにメルマガやDMを配信したり、サイト内での商品割引、ポイント付与などがあります。平均のリピート率は約30〜40%になるので、この数字を下回らないように施策をおこなうことが大切です。

自社ECの成功事例5選!

自社ECの成功事例をご紹介いたします。これらの事例は、顧客の利便性や満足度を向上させるために効果的な戦略を採用し、業績を伸ばしています。

以下では、その中から5つの成功事例を取り上げます。

各事例では、顧客との密なコミュニケーションやパーソナライズされたサービスの提供、スムーズなオンラインショッピング体験の実現など、様々な要素が組み合わさっています。これらの事例は、自社ECを展開する企業にとって有益な示唆を与えてくれます。

株式会社ニッセン(Alinoma)

株式会社ニッセンでは「ありのままの自分をもっと素敵に!」というブランドコンセプトのもと、大きいサイズのLサイズから10Lサイズまでを取り扱うAlinoma(アリノマ)というファッションECモールを運営しています。

株式会社ニッセン(Alinoma)の成功事例を以下の3つの特徴でご紹介いたします。

  1. ユーザーのニーズから誕生:ニッセンは、もともと2000年より大きいサイズのブランドを展開していましたが、そのなかで多くのお客様からいろんなブランド・テイストの服でもおしゃれをしたい、服を選びたいという声が多く、2017年4月に新たに大きいサイズのブランドが集まるECモールを立ち上げています。

    リリース後は顧客のニーズに合わせたユーザー中心のサイトデザインを実現、直感的なナビゲーション、商品の詳細な情報、カスタマーレビューなど、購買意欲を高める要素が充実しています。

  2. パーソナライズされた体験:ニッセンは、顧客の購買履歴や個人の嗜好を考慮したパーソナライズされた体験を提供しています。顧客に合わせたオススメ商品の表示やステップメールの配信、特別な割引クーポンの配布など、個別のニーズに対応することで顧客満足度を高めています。

  3. スムーズな配送と返品サービス:ニッセンは、迅速で信頼性の高い配送サービスを提供しています。様々なブランドを扱っているので、同サイズ表示でもブランドによっては合わなかったというケースが発生してしまいます。ユーザーとブランドとの体験において、「サイズが合わなかった」という顧客体験で終わってしまうのはとても残念という視点から返品したユーザーへのフォローを強化しています、簡単な返品手続きや柔軟な返品ポリシーを設けることで、顧客の不安要素を取り除き、安心してショッピングできる環境を整えています。

株式会社門崎

株式会社門崎では精肉加工商品の製造から熟成肉の店頭販売事業・卸し・自社EC及び各モールでの販売を行っています。株式会社門崎の成功事例を以下の3つの特徴でご紹介いたします。

  1. クリエイティブな商品ラインナップ:株式会社門崎は、独自の商品開発とセレクションに注力しています。斬新なデザインや高品質な素材を用いた商品を展開し、顧客の興味を引きつけます。個性的なアイテムを提供することで、競合他社との差別化を図りました。

  2. バスケット分析(併売)で合わせ買いの傾向を把握:各種イベントの実施時にバスケット分析を活用し合わせ買いの傾向を掴むことで、特定の商品の合わせ買いされる傾向が多いことを把握、分析の結果を起点に新たなアイディアや施策を立案することで顧客の獲得に成功しています。

  3. ストーリーテリングとブランドイメージの醸成:門崎は、商品の背景や制作工程などにストーリーを持たせることで、ブランドイメージを醸成しました。商品ページや広告などでそのストーリーを伝えることで、顧客の共感を呼び起こし、商品への関心を高めました。これにより、商品に対する顧客の愛着とロイヤリティが向上しました。

株式会社プライムダイレクト

ダイヤモンドコートフライパンなど、テレビ通販に馴染みの深い商品を数多くの取り扱う、株式会社プライムダイレクトの成功事例を以下の3つの特徴でご紹介いたします。

  1. 無料・迅速な配送サービス:プライムダイレクトは、顧客へのサービス提供において迅速さと利便性を重視しています。加入者には無料の配送サービスを提供し、最短で翌日に商品を届けることが可能です。この優れた配送サービスは、顧客の満足度を高め、リピート購買を促進しました。

  2. パーソナライズされた推薦システム:プライムダイレクトは、AI技術を活用したパーソナライズされた推薦システムを導入しています。顧客の過去の購買履歴や閲覧履歴に基づいて、類似の商品や関連アイテムを提案します。この個別化されたアプローチは、顧客の興味を引きつけ、購買意欲を高める効果がありました。

  3. クラウドベースのセキュアなプラットフォーム:プライムダイレクトは、セキュリティを重視したクラウドベースのプラットフォームを採用しています。顧客の個人情報や支払い情報を厳重に管理し、安全なオンラインショッピング環境を提供しています。これにより、顧客の信頼を獲得し、顧客ロイヤルティの向上につながりました。

以上の特徴により、株式会社プライムダイレクトは顧客の利便性と安心感を高め、自社ECの成功を達成しました。無料・迅速な配送、パーソナライズされた推薦、セキュアなプラットフォームの組み合わせが、顧客の満足度と忠誠心を向上させる一因となりました。

富澤商店

製菓・製パン材料や和食材をはじめ、スパイスや調理器具にいたるまでの幅広い品揃えで原材料の調達から販売まで一貫した自社体制を創業以来続けている、富澤商店の成功事例をご紹介いたします。

■オンラインとオフラインの融合:富澤商店は、全国各地に店舗があり、各店舗での販売及びイベントを行っています。オンラインストアと実店舗を組み合わせたマルチチャネル戦略を展開することで、顧客は自宅でのオンラインショッピングと店舗での商品鑑賞・購入を組み合わせて利用することができます。

オンラインとオフラインを連携させることで、より幅広い顧客層にアプローチし、買い物の柔軟性と便利さを提供しています。

株式会社ファストノット

「着圧レギンスがニューノーマルになる世界を目指して」 着圧ブランド「ベルミス」を展開する、株式会社ファストノットの成功事例をご紹介いたします。

■顧客のセグメントごとに沿ったコミュニケーション:ファストノットは、【本当に顧客が望んでいる商品を届ける】という考えのもと、日常生活でも使える「スリムレギンスcolor+」や「パジャマレギンスsleep+」等の商品を顧客のセグメントまた、LINE等顧客に沿ったコミュニケーションツールを利用することで、ユーザーに届けています。これらの要素が顧客満足度を高め、顧客の忠誠心を築き上げる一因となりました。

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。当記事では自社ECサイトを立ち上げる上での構築方法や向いている事業者、成果を上げるためにはどうすれば良いかを解説してきました。

自社ECサイトは、新規顧客の集客は難しい反面、一度流れに乗ってしまえば高いリピート率を見込むことができ、ブランディングを意識した独自のECサイトに育てることも可能です。ただ、そのためには担当者のスキルの向上はもちろん、時代の流れや市場の変化を敏感に察知しながら、ユーザー目線で運用していきましょう。

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