【図解】PDCAとOODAの違いと現場に強いOODAついて詳しく解説

PDCAとOODAって何が違うの? と思う方が多いかと思います。そもそも、OODAをはじめて聞いた人もいるかと思います。

OODAとはOODAループのことで、さまざまな領域で活かすことができる思考法のひとつです。OODAループは日本でも広まりつつありますが、まだまだ一般的でないのが現状…。 全く別物であるにもかかわらずPDCAと使い方を誤っている方も多いでしょう。

今回は、それぞれの特徴と使い分けについて解説していきます。

OODAループとPDCAの違いは?

OODAは、Observe (観察)、Orient (状況判断、方向づけ)、 Decide(意思決定)、Act (行動)の頭文字をとったもの。目的・目標を叶えるために自分自身で判断して、素早く行動するための思考法のことを指します。

この前提を踏まえた上でOODAループとPDCAの違いは一体どこにあるのかについて解説します。

PDCAとは?

PDCAは1950年代に提唱された手法です。Plan(計画)のP、Do(実行)のD、Check(評価)のC、Act(改善)のAをとってPDCAと呼ばれています。

このPDCAのそれぞれのサイクルを回し、生産管理や品櫃管理などの問題の継続的な解決を促すのがPDCAサイクルで、なかでも最初のサイクルであるPlanを重要視する手法です。

このPDCAサイクルは最後のActが完了したら、最初のPlanに戻り循環させることを意味しています。

現在では、国際的なマネジメントシステムの「ISO 9001」や「ISO 14001」などにもPDCAのメソッドが採り入れられているのです。

PDCAはある程度の将来が予測できる段階で、目標を設定して運用します。
ただし、PDCAは、災害時などの著しい環境変化が発生した場合の軌道修正は困難というデメリットがあります。現代では環境の変化や需要の移り変わりが激しく、PDCAを設定しても途中で頓挫してしまうケースも少なくありません。

OODAとは?

一方のOODAは、変化の激しい現代で、結果を生む行動と組織づくりが可能なフレームワークです。OODAを分かりやすく説明すると、勝敗に関わる意思の決定とそれを実行するための思考法です。

国際的な競争力が試される製造業などのビジネスはもちろん、現場での作業や私生活、スポーツなどさまざまなシーンでの改善に活用できます。最近ではPDCAと比較され認知度が増しています。

OODAは、Observe(観察)のO、Orient(情勢判断)のO、Decide(意思決定)のD、Act(実行)のAをとってOODAです。施策を実行するActの後は再度観察のObserveに戻ります。4つの要素を反復させながら意思決定を行うため「OODAループ」とも呼ばれています。

サイクルとループの違い

PDCAは、Plan・Do・Check・Actの順番通りにサイクルを回します。このサイクルは一定方向で基本的に逆戻りすることはありません。そのため、変化が発生しても柔軟に対応できないという欠点があります。

一方のOODAはOODAループとも呼ばれる名のとおり、Observeを軸にしてフィードバックを行うループ構造で、一方向のみに進まなくても良いのが大きな特徴です。必ずしもObserveから始まる必要はありません。前の段階に戻るのも可能ですし、仕切り直してのリスタートも可能です。常時最新の情報やデータを収集し、観察を行う構造なので自由度が高い手法といえます。

このようにOODAは双方向的でPDCAは一方向的という違いがあります。

観点や目的の違い

PDCAは、自社やその内部部門のビジネスモデルに対して最良の管理を追求するためのものです。一方で、OODAは、社内環境だけでなく、業界や市場などの外部要因が起点となる場合もあります。

つまり、PDCAでは、対応できない外部要因による変動や、1ループを完了する前に予測できない変化が起これば、引き返して再度観察したり、異なるデータを再収集し検討し直したりする事も可能です。

また、OODAは競争環境下での意思決定に重点を置き、迅速で正確な判断および素早い行動をとるための枠組みです。それに対してPDCAは品質改善に重点を置き、手順を繰り返しながら、問題点の特定や改善策を練ることを目的としています。

PDCAはフレームワーク・OODAは思考法

前提として、

  • PDCAは、継続的に行なうことで最大の効果を発揮するフレームワーク。
  • OODAは、どんな場面でも持っておくべき思考法。

上記のような違いがあります。

OODAループとPDCAの特徴を徹底比較

PDCAは、計画を決めて、実行。効果を検証して改善していくフレームワーク。 一方で、OODAは想定外のことが起きたときに自ら迅速に判断して手を打つための思考法。

PDCAの前提は、計画を立てて実行できることにありますが、OODAは予定にはないことが起きることに対処することが前提となっています。

PDCAとOODAそれぞれのメリットとデメリット

ここまでPDCAとOODAの特徴。違いについて紹介していきました。 ここからはそれぞれのメリットとデメリットについて解説していきます。

前提として、PDCAもOODAも非常に強力なフレームワーク・思考法であるため実行することに対して、マイナスはありません。 デメリットが少ないことを前提とした上で解説をしていきます。

PDCAのメリットとデメリット

【メリット】

  • アクションプランが明確になる
  • 課題やボトルネックが分かりやすい
  • 効果を検証して改善できる

PDCAのメリットは、アクションプランを決めることで行動に集中できること。
実行した結果をもとに課題やボトルネックを抽出して、改善することができます。 PDCAという枠組みに当てはめていくので、イメージしやすく組織全体に落とし込みやすいのも魅力の1つです。

【デメリット】

  • 目標設定までの工程が描けない
  • 現状分析が甘く継続できない

PDCAのデメリットはシンプルで簡単なフレームワークではあるのですが、変数が多いと目標達成までの工程がうまく描けないことがあります。完成度の高いフレームワークであるがゆえに、計画だけで実行できない組織が出来上がってしまうことも…。 変数が多かったり、動きが多いチームではPDCAのサイクルを回せない、継続できないという欠点があります。

OODAのメリットとデメリット

【メリット】

  • 自発的に動けるようになる

OODAはフレームワークではなく、思考法であるため個人が持ち合わせることができます。もともとは、アメリカ軍が開発した思考法であるため、現場でスグ動ける人になるための技術が詰め込まれています。 【デメリット】

  • 主体性が必要になる

個人の力に依存するため、指示待ちな人や優柔不断な人には向かないことがあります。 もともとの価値観を変えていく必要があるため、気持ちの持ち方、マインドセットから改善していく必要があることです。

PDCAサイクルとOODAループの使い分けについて

PDCAサイクルとOODAループの違いとメリット・デメリットを把握できたなら、続いてそれぞれの使い分けについて考えていきます。

PDCAとOODAは、それぞれ活躍できるシーンや活用すべきタイミングが異なるのが特徴です。 それぞれの効果を最大限に引き出せるように、以下を参考にPDCAとOODAの使い分けについてチェックしていきましょう。

PDCAサイクルの場合

PDCAサイクルは、コストパフォーマンスの向上や効率的なシステムの提案などに使われます。 もともとPDCAサイクルは生産管理や品質管理に使用されてきた経緯があるため、既に稼働している計画や環境の改善に役立つのが魅力です。 特にシステムの見直しによって改善が見込める業界では、PDCAサイクルが大きな役割を担うでしょう。

逆に、常に計画の変更が見込まれる流動性の高い業界では、PDCAサイクルを使用することで事業の柔軟性を損なう結果となるかもしれません。

OODAループの場合

OODAループは、柔軟に発想や行動を変更していく必要のある業界で使用されます。 最初から明確な計画を立てることが難しく、常に作業工程に変化が起きる際には、OODAループで必要に応じた問題解決を図るのがポイントです。

OODAループは、主に状況に対して臨機応変な対応が求められる業務現場で役立ちます。 PDCAサイクルと違ってスピーディな意思決定が行えるので、その時々の最適解を導き出せるのです。

一方で、積極的にOODAループを回すことは重要ですが、業務上絶対に「変更してはいけない部分」を明確にし、計画全体に問題が起きないように配慮する必要があります。 また、事業全体の計画を立てたり、将来的なビジョンを描く際にはOODAループは不向きだと言えるでしょう。

OODAの4つのプロセス

OODAは4つの段階に分かれていて、その4つを繰り返して運用することによって、迅速な意思決定や運用を促せます。

ここではその4つの段階について詳しく解説します。

1. 見る・観察する(Observe)

Observeは観察という意味ですが、OODAでは単純に「見る」という行動を表しているわけではありません。まずは、とにかく市場や顧客、競合を観察・調査してください。現場の担当者が観察を行い、「生きているデータ」を集めます。

激しく変化する現代において、ついこの間までニーズが高かったものが、急に別のものに関心が変わるのもよくあります。この変化に気づけないとなると、顧客のニーズに応える製品やサービスを提供するのは難しいでしょう。実際、社会は常に変化しているため、その動向に素早く気づくには観察する課程が大切です。

このとき忘れてはならないのが、過去の経験をもとにして調査をしないでください。あくまでも、現在の状況をそのまま受け入れることが重要です。また、自身の計画に固執するのではなく、よく観察を行い相手の出方を伺うことが重要です。

2. 方向づけ・状況判断(Orient)

観察し情報を収集したら、その情報から今後の方向性や方針を練る段階となります。収集した情報を根拠にして、自社がよくなるためにはどのように行動すべきかを検討してください。

たとえば、マーケティング戦略を練るのであれば、自社の強みや弱み、市場規模の分析結果などから、他社との差別化を図る方向性を見出すことが該当します。

収集したたくさんの情報から方向性を見出すのは、慣れるまでは難しいかもしれません。しかし、OODAは繰り返す枠組みですので、繰り返すうちに徐々に上達しますので心配いりません。

集めた情報と向き合い検討をしていきましょう。

3.意思決定(Decide)

続いては意思決定の段階です。この段階では、ここまででわかった状況に対して具体的にどのような計画を実行に移すのかを決定します。

たとえば、メールの開封率を上げるために、顧客が興味を持つようなタイトルを付ける、タイトルだけではなく本文には新商品の情報に加えてお役立ちコンテンツを掲載するなどです。

Decideのあとには必ず一度Observeに立ち戻り、状況に変化がないかを確かめる必要があります。

4. 実行(Action)

最後は、Decideで決定したことを実行に移します。実行までの間でも状況は常に変化していますので、のんびりとこうどうしていると、せっかくObserveで集めた情報や、Orientで決めた方向性が古いものへとなってしまいます。素早く実行に移しましょう。

1回目の実行が終わったら、Actで実行したことで状況が変わっていないかを確認するためにObserveに戻ってください。たとえ変化がないとしても、得た情報が新しい仮説を立てる材料になり得ます。1度目で期待した効果が表れなかったとしても、眼の前の結果にとらわれず改善と実行を繰り返し、OODAを回すことで成果へつながります。

OODAが注目されている背景

近年注目されているOODAですが、実際に注目されている背景は3点です。 詳しく、見ていきましょう。

テクノロジーの進歩に伴うビジネス環境の急激な変化

近年のAIやビッグデータなどのテクノロジーの急激な進歩に伴い、ビジネス環境も急激に変化しておりスピード感のある対応が必要になっています。代表的な例としては、スマホ決済市場の競争激化が挙げられます。

今から4~5年前は数あるQRコード決済サービスは、どこが勝ち残るのかと話題になっていました。現在では後発企業であった「PayPay」などが勝者だと結果が出ています。この市場で古参であった「Origami Pay」は多額の赤字を出し、最終的に買収されました。

同様に後発企業が市場を総取りするケースは、インターネットの初期にも見られました。このような状況下で企業が生き残るためには市場動向を考慮して素早く判断し、意思決定を下す必要があります。当時と同様に現在も変化が激しく、詳細な計画を立てるよりも、OODAを活用し状況に鑑み素早く判断し勝機を逃さないことが重要です。

AIやSNSの急速な発達

AIの技術が急速に発達し、多種多様な作業をAIがこなせるようになりました。しかし、AIの応用範囲は、過去のデータが存在する領域のみです。新しい分野は市場や現場の動きを常に見ている人間がOODAを高速で回していくのが大切です。

よりスピード感が求められる場面ではOODAを使って市場の動きに直ちに対応すれば、競合他社に打ち勝つ企業になります。

また、近年ではSNSを活用すれば誰でもリアルタイムに顧客の声が集められ、マーケティングの精度およびスピードは加速しています。OODAを活用して競合する企業においていかれないようにしましょう。

そもそもPDCAは万能ではない

現在までのところ、PDCAはOODAより認知度も高く、有効で実績も豊富な枠組みです。しかし、変化の激しい現代において決して万能ではなく、PDCAのみでビジネスを進行するのは得策ではありません。

PDCAは品質管理や生産管理のための枠組みなので、変化の激しい状況では、スピード重視のOODAと従来のPDCAを使い分けることが重要です。では、PDCAのサイクルを早めればよいという意見も目にしますが、スピード重視ではより実績のあるOODAを活用するのが得策です。

OODAを活用することで得られる効果

OODAを活用するとさまざまな効果が得られます。ここではどのような効果が得られるのかを3つのポイントに絞って解説します。

新規事業立ち上げなどで成果を出せる

新規事業の開拓など、先々の想定を見通しにくいケースにも事象や状況を観察し、方向性を決めるOODAは有効です。OODAは、行動する前には目標を設定しないのが特徴といえます。目の前の状況に応じて臨機応変に戦略を練り、事業を推進できるのがOODAです。

新規事業を構築する過程において発生する課題や問題点を解決するには、スピード感を持った状況把握と対応が必要です。OODAを活用すれば、早期解決の期待ができ、過程を繰り返すことで、新規事業の改善や、成功につながる戦略策定に役立ちます。

競合が多く、競争が激しい業界においては、日々の状況を素早く把握することが必要です。行動の前に計画を立てるPDCAでは、対応している間に状況が変化しているケースもあり、事象や状況の観察結果により迅速に行動を起こすOODAが適しています。

このような考え方は、自社が置かれている局面の変化スピードにおいても応用可能です。OODAで観察するのは周囲の状況で、その原因については言及されません。ライバル企業よりも素早く行動をするには、スピード感は強力な武器です。業界であっても、局面であっても自社の状況に鑑み、何をすべきかを迅速に決定することが必要です。

現場で発生した課題や問題点をスピーディーに解決する

OODAは課題解決に適しているフレームワークです。目の前の出来事や状況を観察し、解決するべき課題を見つけて、その思考法を身につけた個々人が臨機応変に適切に運用するための方法をスピード感を持って検討します。

特に、即対応しなければならない緊急の課題解決には最適です。

まとめ

PDCAとOODAの違いや特徴について解説してきました。 それぞれの違いを認識して、思考法もフレームワークも両方を取り入れていきましょう。

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