定期購入モデルとは?仕組みやメリット・デメリットをご紹介

定期購入モデルとは?

「定期購入」とは、一定の間隔で同様の商品を継続的にお客様にお届けする手法のことで、通販事業者、顧客ともにメリットがあるため、近年多くの通販事業者が事業モデルに取り入れています。

定期購入のビジネスモデルについて

そもそも定期購入とは、一体どんなビジネスモデルなのでしょうか?定期購入を始める前にビジネスモデルや仕組みを理解しておく必要があります。

定期購入を行う際、お客さんの入り口を作る方法は大きく2つ存在します。まず1つ目は、自社のECサイトを運営すること。そして、2つ目は、Amazonや楽天などの大手ECサイトを利用することです。大手ECサイトに出店することで、ある程度の流入数を見込めるというメリットが存在しますが、自社のブランドと合わせた販売場所を検討することが大切です。

また、定期購入というビジネスモデルにとって、定期的に購入してもらえる仕組みを作ることが最重要になります。購入前に無料サンプルを配布したり、初回購入時の価格を下げたりすることで、リピーター獲得を促進できます。

定期購入とサブスクリプションの違い

定期購入は、近年の流行りである「サブスクリプション」に間違われやすいですが、そもそもの概念が違います。定期購入もサブスクリプションも、商品やサービスに定額支払いを行うという点では同様のシステムとなっています。 しかし、定額購入は同様の商品を購入し続けてもらう手法である一方、サブスクリプションは顧客満足度を考慮して柔軟なサービスを展開するのが特徴です。

顧客ごとのニーズに合わせた料金形態や契約プランを用意するなど、サブスクリプションは定額購入よりも多くの手間と計画性を必要とします。 定期購入は商品そのものに対しての代金を支払いますが、サブスクリプションはサービスを利用する「権利を購入する」のが特徴です。 解約しても購入した商品が手元に残る定額購入とは違い、あくまで契約中のみサービスを活用できる点も違いとなっています。

定期購入モデルが必要な理由

定期購入モデルが消費者にとって必要な理由は、商品をその都度購入する手間を省くことができるためです。

気に入った商品を購入するときに毎回企業のホームページにアクセスして商品を選択してクレジットカードなどの電子マネーの情報を入力して決済するやり方は、かなり手間がかかります。面倒くさがりの人であれば購入の際に逐一ホームページにアクセスすること自体に嫌気がさしてしまうことでしょう。

しかし、定期購入にしておくなら、毎月決まった日に自動で購入して商品を配送してくれるので、アクセスする手間も電子マネーの情報を入力する手間も省くことが可能です。企業側としても定期購入モデルを設定するなら、毎回どれだけの収益が得られるのか計算することができます。

定期購入は必ず同じ商品を購入してくれるので、販売予測を立てることができ、定期購入の収益によりどのような改善が必要なのか対策も立てやすくなります。消費者にとっても企業側にとってもメリットがあるので必要です。

定期購入モデルで成功しているジャンル(商品)は?

定期購入のモデルとして成功しているジャンル(商品)には、以下のような特徴があります。

・定期的に購入する必要のある消耗品
・定期的な刊行が可能な雑誌
・内容物の詰め替えが可能な商品 など

具体的には化粧品や健康食品などが、定期購入モデルで成功しているジャンルとなっています。 これらの商品は「継続して使い続けること」で効果を得ることができるので、定期購入に向いている商品だと言えるでしょう。 逆に1度購入したらしばらく新しいものが必要ない商品などは、定期購入モデルと相性が悪くなっています。

定期購入モデルを成功させるには、契約段階で顧客に「長く使い続けたい」と思わせることがポイントです。 例えば「〇ヶ月で効果を実感できる」「〇ヶ月使った利用者のインタビューを紹介」など、長く購入を続けることにメリットがあるとアピールするのがひとつの手法となるでしょう。 顧客の購買意欲をどうやって継続させるのかを考案することが、定期購入モデルの成功における秘訣です。

ここからは、定期購入モデルとして成功を収めているサイトを、実例を出して紹介していきます。

成功事例①|バルクオム

バルクオムは、2013年に誕生し、20代~30代の男性を中心に幅広い層で話題となっている、メンズスキンケア商品を扱っているメーカーです。InstagramやTwitterなど、SNSを中心としたマーケティング戦略をうまく活用することで認知を広げています。

以前はリスティングやアフィリエイトを活用して新規顧客の獲得を行っていましたが、期待ほどの成果が挙がらないという状態が続いていました。しかし、Instagram広告を活用することで、1年で新規顧客獲得の件数は10倍に増え、大きく売上を伸ばしています。

また、サブスクモデルをうまく採用したことで、リピータが増え、成功に結び付いたと言えるでしょう。

成功事例➁|ドモホルンリンクル

次に紹介するのが、ドモホルンリンクルです。製造元の再春館製薬所の創業は1932年、そして1974年に、ドモホルンリンクルが開発されました。メーカー直販で販売を長年行ってきましたが、ユーザーに発信し続けることで、顧客からの信頼を獲得しています。

2013年度の通販・EC売上高は288億円近くに上り、その売上の9割が90%がドモホルンリンクルとなっています。そして、売上全体の90%がリピート客によって構成されているのです。

初回お試しセットをうまく活用し、リピート顧客を着実に増やした結果と言えます。「初めての人にはお売りできません」というキャッチコピーも一躍有名となりました。あえて強いメッセージを伝えることで、唯一無二でとんがった存在として君臨し、お客さんからの共感を得たと考えられます。

成功事例③|Oisix(オイシックス)

Oisixは、有機野菜や無添加加工食品を届けるECサイトです。食品配達サービスを行っているのですが、その会員数は2020年3月時点で約23万人、2020年12月には28万人を超えるという、急速な成長を見せています。

3000点から旬の野菜やおすすめ食材をセレクトしてくれるコースや、本格料理が作れるように、必要食材とレシピがセットになったコースなど、複数のコースが提供されています。

Oisixは、定期購入を行い成功を遂げたサービスの1つと言えますが、どのような属性の消費者が何の食材を購入しているのか徹底的に分析を行うことで、顧客のニーズをがっつり掴みました。

食料を扱うビジネスでは、調達や下ごしらえ、食品の配送の双方についてオペレーションを行う必要があり、難易度が高いのが現状です。しかし、5,000円相当の食材を1,980円で試すことのできるキャンペーンなどの施策をうまく打ち、入会ハードルを下げることで、累計380万人以上が利用しているサービスとなりました。

定期購入モデルのメリット・デメリット

定期購入モデルのメリット

定期購入モデルには、以下のようなメリットがあります。

<購入者のメリット>
・毎回の購入の手間が省ける
・買い忘れが起こらない
・在庫切れの心配もない など

<企業側のメリット>
・毎月の利益を計算しやすい
・定額のため収益が安定する
・在庫も事前に計算して仕入れられる
・定期的にアンケートなどをとってユーザーニーズを把握しやすい
・顧客情報が明確なため万が一のサポートもやりやすい など

定期購入モデルには、購入者と企業側それぞれに上記のようなメリットがあります。 それぞれのメリットを把握することで、定期購入を導入するきっかけを見つけられるでしょう。 そのほか、長期間顧客として付き合える点や、アップセルやクロスセルといったさらなる利益の向上に期待できる点も、定期購入モデルを実施するメリットです。

定期購入モデルのデメリット

定期購入モデルには、メリットだけでなくデメリットもあります。 以下を参考に、デメリットの部分もチェックしておきましょう。

<購入者のデメリット>
・解約の手間がかかる
・商品を毎回きちんと使い切らなければもったいない
・継続した購入が家計の負担になることがある など

<企業側のデメリット>
・定期購入品以外の商品を見てもらえなくなる可能性がある
・商品の提供が止まらないようにトラブルに注意を払う必要がある
・新商品の開発にリソースを割くのが難しくなることもある など

定期購入は手軽に商品を購入し続けてもらえるメリットがありますが、その一方で長期的な購入が顧客の負担となったり、商品への「飽き」が早まったりするリスクもあります。 そのため企業側は定期購入を気持ち良く継続してもらうために、顧客に対してさまざまなサポートを行う必要があるでしょう。

例えば定期購入を継続している顧客に、別の商品のサンプルをプレゼントしたり、購入者限定のクーポンを配布したりといった方法が考えられます。 定期購入の継続がさらなるお得につながることを、積極的にアピールしていくのがポイントです。

定期購入を利用してもらうために

メリットが多い定期モデルですが、定期購入商材を取り扱っていく中で、いかに定期購入の顧客を増やし、購入を続けてもらうかという点が非常に重要な課題となってきます。定期購入を利用してほしいと望むあまり、顧客の意思をきちんと理解せずに定期購入の訴求を図っている通販事業者も少なくはありません。

それでは、多くの顧客に定期購入を利用してもらうためにはどうしたら良いのでしょうか。それは一言で言うと、「顧客が購買するためのハードルを下げる」ということです。いくつか例を挙げてみます。

1.「定期の縛りを設けて、初回を低価格で提供する」

初回の価格を低くすることで顧客にとって定期購入の入り口へのハードルが下がります。注意すべき点としては、顧客が定期購入の継続回数の縛りを見落としてしまい、後々クレームに発展するリスクがあるということです。

2.「無料サンプルを配布したあと、定期購入の利用を勧める」

インターネット上のモニター募集などで顧客に無料サンプルを配布することで大量の顧客のリストを獲得することが出来ます。その顧客に向けて定期購入促進のアプローチをすることで、引き上げるというものです。

3.「定期購入に特典を設け、数量限定や期間限定等の記載を行う」

今買うべき理由に特別感を与えることで、定期購入への申し込みを促すというものです。注意すべき点は年中通して、「限定」を訴求してしまうと、顧客の心象が悪くなってしまうことです。

消費者視点で考える

消費者視点からメリット・デメリットについてみてみます。

◆メリット
① 購入毎に発生する面倒な購入の手続きを取る必要がない
② 通常購入より値段が安く、購入特典がつくことが多い
③ 商品の買い忘れや品切れになる心配がない
④ 健康食品・化粧品の場合、使い続けることで効果が実感できる

◆デメリット
① 商品が自分に合わなかった場合、すぐに解約できないという可能性がある
(好転反応を悪化していると勘違いしてしまっている可能性も含む)
② 正しい量を使っていないと商品が余ってしまい、使い切らないうちに次の商品が送られてくる
③ 解約や返品等の条件が複雑に記載されており、手続きに時間がかかり、必要がなくなっても商品が受け取る義務が発生する

消費者にとっては解約方法や解約条件、そして解約のタイミングはいつなのかという部分をしっかり確認をしてから定期購入の手続きを行うことが必要となってきます。また、定期購入コースを契約する際に、一定回数を購入しなければならないという規約を読み飛ばしてしまい(あるいは意図的に記載が小さくて見つけられない)解約したくてもできないといった問題も起きています。

さらに、「お試し購入」、「1回だけ」のつもりで購入ボタンを押したところ、実際は定期購入の契約となっていて、販売者に解約を申し出ても拒否されてしまうといった問題も起きています。

双方に生まれる定期購入への意識の差とは

定期購入を通販事業者側と消費者側の違う角度から見ていくと、消費者側にとっての負担が大きいことが分かると思います。双方に定期購入に対する意識の差があることにより多くの問題が発生しています。リスクを負いながらも定期購入に至った消費者がいざ解約を申し出ようとしたところ、事業者へ電話が繋がらないといったような詐欺行為も多く発生しており、国民生活センターには定期購入でのトラブルに関する相談件数が増加の一途をたどっています。

一部の悪質なケースが存在することで、消費者側にもメリットが多くある定期購入が敬遠されたり、問題視されてしまうことは非常にもったいないことです。今後、通販事業者と消費者の双方が気持ちよくECでの定期購入を利用するにはどうしたら良いのでしょう。

今後の定期購入モデルの在り方・取り組み方

今後、定期購入をめぐる問題をなくし、通販事業者、消費者共に気持ちよく通販で取引をしていくには、双方で気をつけなくてはならない点があります。

まず、消費者側で気をつけなくてはならない点は前述の他に、「通常購入より低価格」、「有名女優も使用」、「ダイエット効果あり」などをうたう広告だけを見るだけではなく、きちんと契約内容や解約条件を確認することです。そして、通販事業者側が定期購入をめぐるトラブルに巻き込まれないためには、定期購入であること、解約するために必要な条件などの注意事項をわかりやすく記載することが大事です。

もちろん売上を上げるためには多くの顧客に定期購入を利用してもらった方が良いのは事実です。しかし契約内容や解約条件などをわかりにくいところに記載したり、小さく記載して顧客が詳細を知らないまま定期購入コースを契約してトラブルを引き起こせば顧客は離れていきます。事業者が気持ちよく買い物をしてもらいたいという「想いやり」の気持ちを第一にすることで、顧客にとって居心地の良いECサイト、リレーション作りが可能になります。

このリレーションが生まれると自社のファンになってもらうことができます。これがCRMの第一歩であり、それが結果的には売上に繋がるのです。

定期購入モデルによくあるトラブル


定期購入によくあるトラブルも把握しておきましょう。まず、1つ目は「お試しのつもりで購入した商品が定期購入になっていたことです。お試し価格は1回目は割引などで安い料金、または無料となっていますが、解約しなければ2回目以降は通常価格を支払うように命じられるので、お試しの際に解約できるのか確認しておく必要があります。

2つ目は解約できると思ったら通常価格での購入が条件なことです。定期購入の規約によっては解約しても1回目は必ず料金を支払わなくてはいけないこともあります。しっかり利用規約を読んでおきましょう。

3つ目は解約がしたいのに電話がつながらないことです。定期購入の解約は電話が必須となっているところがありますが、時間帯によってはつながりにくいこともあります。電話サービスが始まる最初の時間帯を狙って電話するなど対策が必要な場合もあります。

CRMツールを導入して、より良い定期購入モデルを作ろう


定期購入モデルは、顧客との関係値が非常に大事になってきます。通常の単品通販よりも顧客管理をしなければいけません。そんな時は、「CRMツール」がおすすめです。CRMツールには、顧客を管理する機能がさまざま備わっており、顧客とも良いリレーションを築きやすいです。

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