バスケット分析とは?実施要領や注意点を解説

販売店にとっては、商品を仕入れて棚に並べても、売れないと意味がありません。商品を多くの顧客に買ってもらうために、陳列を工夫している販売店も、多くいるのではないでしょうか。

【バスケット分析】という言葉をご存知ですか?バスケット分析をおこなったうえで、商品を陳列することにより、売り上げが向上するかもしれません。

バスケット分析といった言葉は、業績向上の可能性を秘めていることから注目を浴びています。

本記事では、バスケット分析の言葉の意味や起源。 バスケット分析に関わりのある【アソシエーション分析】の言葉の意味。そして、バスケット分析の実施要領や、それを利用するための4つの指標、注意点などを解説します。

バスケット分析とは

バスケット分析の【バスケット】とは、【買い物カゴ】を指しています。つまり、買い物カゴの中身を分析することです。

商品を購入するなら、ついでにこの商品も購入する。といった実体験はありませんか?

事例でたとえると、以下の通りです。

  • サラダの野菜があれば、ついでにドレッシングを買う
  • お肉があれば、ついでにスパイスを買う
  • タバコを買えば、ついでにライターを買う

バスケット分析とは、一つの商品を購入される際に、一緒に購入される商品は何なのかを分析する方法になります。

その、一緒に購入される商品を割り出すことにより、商品の配列を工夫する。といった戦略を立てることが可能になるのです。

バスケット分析の起源となる話【おむつとビール】を紹介

【バスケット分析】という言葉の起源は、どこから生まれたのでしょうか。

バスケット分析という言葉の起源は、1990年代のアメリカが発祥になります。1992年にアメリアのオスコ(Osco)というドラッグストアで、商品売上に関するデータ分析を、とあるコンサルティング企業がおこないました。

分析内容は、全25店舗で総数約120万個の商品に対する、買い物カゴの中身を【どのような組み合わせなのか】を分析したものです。

その結果、興味深い共通点が出てきました。その内容は、以下の通りです。

  • 買い物カゴの中身はおむつとビール
  • 毎週金曜日に集中
  • 時間帯は夕方5時から7時
  • 30代から40代の男性客

この、興味深いデータを分析した結果、以下のような仮説が立てられたのです。

  • おむつなので赤ちゃんが居る家庭
  • 単身世帯ではなく複数世帯
  • ビールなので晩酌をする人
  • 昼間に仕事をしている人の仕事終わりの買い物

これらの内容から、さらに分析を進めた結果【昼間の仕事終わりに、おむつの買い物を頼まれた旦那さん】といった人物像が浮上したのです。

人物像が分かったのであれば、それに対する対策を実践することにしました。

ドラッグストアで、おむつとビールを近い配列にしてみたところ、双方をついでに購入するといった心理が働いたのか、売り上げアップに成功したのです。

バスケット分析の起源となるアソシエーション分析を解説

【バスケット分析とは何か】といった内容を解説していますが、バスケット分析を語るうえで、重要で外せない言葉があります。それがアソシエーション分析です。

アソシエーション分析とは、【こう仮説をつければ、こうなるだろう】といった形で、データを見つけだす分析方法をいいます。

データをもとに市場規模を予測するのによく用いられており、その【予測どおり】となった場合の法則性を、【アソシエーション・ルール】と表現することがあります。

ちなみにバスケット分析は、アソシエーション分析がおおもとであり、下記の3つを分析することを、バスケット分析といいます。

  1. POSデータ
  2. レシート
  3. トランザクションデータ

おおもとであるアソシエーション分析は、【仮に~なら(if)】、【こうなる(then)】といった2つの関係が重要視されているのです。

バスケット分析の実施方法を紹介

では次に、バスケット分析の実践方法を例題を交えながら解説します。結論から申し上げると、以下の通りです。

  • バスケット分析で利用する4つの指標から分析する
  • 表を作成して分析する

では、順に紹介します。

バスケット分析で利用する4つの指標から分析する

バスケット分析は、4つの指標を用いて分析をおこなっていきます。その4つは、以下の通りです。

  • バスケット分析指標①支持度
  • バスケット分析指標②信頼度
  • バスケット分析指標③期待信頼度
  • バスケット分析指標④リフト値

では、順に紹介します。

バスケット分析で利用する指標その①【支持度】

支持度とは、全顧客の中で商品Aと商品Bの両方を購入する割合をさします。

計算式は、次のようになります。

同時購入者数 / 購入者全体数=支持度

バスケット分析で利用する指標その②【信頼度】

信頼度とは、商品Aと商品Bを同時に購入する割合を指します。

計算式は、次のようになります。

同時購入者数 / 商品Aの購入者数=信頼度

バスケット分析で利用する指標その③【期待信頼度】

期待信頼度とは、全顧客のうち、商品Bを購入する割合を指します。

計算式は、次のようになります。

商品B購入者数/ 購入者全体数=期待信頼度

バスケット分析で利用する指標その④【リフト値】

リフト値とは、期待信頼度に対する信頼度の割合を指します。

計算式は、次のようになります。

信頼度/ 期待信頼度=リフト値

このリフト値が高くなれば、【単品で商品Bは買われる確率は少なく、商品Bは商品Aと同時に買われやすい】ことが分かるのです。

ちなみに、リフト値が1以上となったときは【商品Bが買われやすい】と判断されます。

表を作成して分析する

バスケット分析で使用する4つの指標に数字をあてはめた後は、具体的に表を作成してさらに分析を進めていきます。

実際に例題を紹介します。

  • 弁当:35
  • ジュース:80
  • みそ汁:30
  • 弁当+みそ汁:20
  • ジュース+みそ汁:20

全体の購入者数を100人とすると、下記の数字が算出されます。

 

商品A

商品B

支持度

信頼度

リフト値

比較1

弁当

みそ汁

20%

66%

1.66

比較2

ジュース

みそ汁

20%

25%

0.83

比較1と比較2の支持度はどちらも20%と同じですが、信頼度が66%と25%と、大きな差がでています。ジュースは、単独で購入されることも多いため、比較2のジュース・みそ汁では低い信頼度となりました。

次に、リフト値をみてみると、比較2のほうは1以下となっていることから、以下のような仮説が立てられるのです。

  • ジュースとみそ汁は同時に買われづらい
  • ジュースは単独で買われやすい
  • みそ汁は単独より弁当と同時購入率が2倍多い

上記の仮説をもとに、商品配列を行うことがバスケット分析です。

バスケット分析のエクセルでのやり方

バスケット分析を行うためには、正しいデータを収集する必要があります。

また、バスケット分析の目的はリフト値を導き出すことです。

実際の手順としては、次の3ステップになります。

STEP1. 支持度を計算し、分析対象を絞る
STEP2. 信頼度と期待信頼度を計算する
STEP3. リフト値を計算する

以下で、それぞれ解説していきます。

STEP1. 支持度を計算し、分析対象を絞る

バスケット分析を行う上で、購買データを集め、組み合わせごとに支持度を計算しなければなりません。

商品の掛け合わせでどのように購入されているのかを見える化していきます。

具体的なExcelの数式では、複数条件を満たしているセルの数を求める関数であるCOUNTIFSを活用します。

支持度=商品の同時購入数 ÷ データ数

上記の計算で支持度を求めることが可能になります。その算出した支持度をもとに『支持度が高いもの』を出し、支持度が高かったものを分析対象として扱います。

STEP2. 信頼度と期待信頼度を計算する

リフト値を算出するためには、信頼度と期待信頼度を計算する必要があります。

信頼度とは、信頼できる程度のことを指します。具体的に、統計学では、推定しようとした値が信頼できる区間に入っている確率のことを言います。

期待信頼度とは、全ての顧客のうち、商品Bを購入した割合のことを言います。

つまり、「期待信頼度=商品Bを購入した人数÷全ての顧客数」という人数が成り立ちます。

実際の業務では、数値が複雑化するため、エクセルを活用して数値を求めることをおすすめします。

STEP3. リフト値を計算する

リフト値は、前述したとおり、信頼度と期待信頼度を用いて計算することが可能です。

式としては、次のようになります。

リフト値=信頼度÷期待信頼度

商品Aと商品Bが同時に購入されている率が高いかどうかは、リフト値が1を超えているか、否かで判断します。

バスケット分析はエクセルで完結できる内容になるため、おすすめのものとなります。

バスケット分析での注意点を3つ紹介

バスケット分析をおこなう際は、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。

結論から申し上げると、以下の通りです。

  • すでに売れている商品は対象から外す
  • 【商品ごと】or【カテゴリーごと】で分析結果が変わる
  • 違和感を与えるような組み合わせにしない

では、順に紹介します。

すでに売れている商品は対象から外す

バスケット分析での注意点として、すでに売れている商品は、対象から外すことがあげられます。

理由としては、正確な分析結果が出づらい傾向にあるからです。

例えば、お茶や缶コーヒーなどは、季節やトレンドにとらわれず購入されやすい傾向にあります。そのような、お茶や缶コーヒーなどをバスケット分析を実践しても、分析のおかげで売れているのか分かりづらいのです。

正確ではない分析結果での導入は、一歩間違えるとマイナスなどの数字を出してしまう恐れがあるので、注意が必要です。

【商品ごと】or【カテゴリーごと】で分析結果が変わる

バスケット分析での注意点として、【商品ごと】【カテゴリーごと】で、分析結果が変わることがあげられます。

バスケット分析で、【商品ごと】で分析を進めていくと、詳細な分析結果が算出されます。しかし、分析結果の種類は多くなってしまうのではないでしょうか。

では次に、【カテゴリーごと】でバスケット分析を実践してみると、詳細ではない大まかな分析結果が算出されますが、分析結果の種類は少なくて済みます。

【商品ごと】or【カテゴリーごと】どちらも、活用するのは可能ですが、双方の分析方法でのメリット・デメリット。そして、結果や特徴点の違いには、十分注意が必要です。

違和感を与えるような組み合わせにしない

バスケット分析の注意点として、違和感を与えるような組み合わせにしないことが、あげられます。

例えば上記で述べた、おむつとビールもその組み合わせです。双方が売れるにしても、隣合わせでは違和感が生まれて手を出しづらくなるかもしれません。

おむつとビールが、売れるといっても隣合わせではなく【同じ通路に見える位置】や、【おむつとレジの間にビールがある】など、違和感が生まれないような配置は十分可能になります。

バスケット分析にはデータマイニングツールの導入がおすすめ

バスケット分析を実践するには、大量の情報を分析しなければなりませんが、Excelなどでは膨大な量の情報を分析するのは不可能です。

膨大な商品量が存在するバスケット分析には、データマイニングツールの導入がおすすめです。

データマイニングとは、大量の情報(データ)を掘り起こす(マイニング)といった言葉の意味があります。

ですので、大量な情報データから自分が欲しいと思う情報を掘り起こしてくれるのですが、その掘り起こし方にも工夫ができます。

データマイニングツールは、仮説を立てて情報を掘り起こすことも可能ですが、人工知能AIが仮説も立てないで相互関係にある情報を掘り起越すことも可能なので、さまざまな発見が期待できるツールです。

本記事のまとめ

本記事では、バスケット分析について紹介しました。

バスケット分析とは、商品を購入される際に、一緒に購入される商品は何なのかを分析する方法になります。

バスケット分析の実施要領は、以下の通りです。

  • 相互関係にありそうな3つの商品を準備
  • 指標である4つの数値(支持度・信頼度・期待信頼度・リフト値)を出す
  • 4つの指標をあらゆる角度から見比べる

バスケット分析では、3つの注意点がありました。その3つの注意点は、以下の通りです。

  • すでに売れている商品は対象から外す
  • 【商品ごと】or【カテゴリーごと】で分析結果が変わる
  • 違和感を与えるような組み合わせにしない

上記の内容を参考に、バスケット分析を実践してみてはいかがでしょうか。

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