EC通販のLTVを最大化するCRM運用方法

日本のEC市場は年々事業者数が増え、競争環境は益々激化の傾向にあります。競合が増え、新規の獲得効率が悪化し、一人あたりの獲得コストが高騰しております。そんな状況下の中、右肩上がりに売上が伸びている企業様にはある共通点がございます。それは、LTVをKPIに設定し戦略的にCRMに取り組まれている企業様です。

今回は、450社以上のEC事業様のCRMを行っている立場から、LTVを最大化する、CRMの運用方法を紹介いたします。

この運用方法をご活用いただければ、スタートアップの企業様や、リピート売上に課題を感じている企業様も戦略的にCRMに取り組む環境を手に入れることができますよ。

そもそもLTVとは?

リピート売上に課題を感じている企業様にご訪問させていただくと、約8割の企業様が自社のLTVを把握しておらず、LTVが上がらない要因についても把握していらっしゃらない現状があります。

そもそも、LTVとは、ライフタイムバリュー(Life Time Value)のことを指しており、顧客の生涯的な価値を示しています。一生のうちに顧客がどれだけの売上に貢献するかを図る概念で、マーケティングの戦略を立てる上で重要な指標になります。

LTVの計算方法

LTVを算出するには以下の計算式を使います。

LTV=顧客単価×粗利率×購入頻度×購入期間-コスト」

  • 顧客単価=顧客が一回の買い物で支払う金額
  • 粗利率=売上高に対する粗利額の割合
  • 購入頻度=顧客が一定期間で商品を購入する頻度
  • 購入期間=顧客が継続して商品を購入した期間
  • コスト=新規顧客獲得や既存顧客に対する費用

それでは、この式を用いて実際にLTVの算出方法を教えていきます。

顧客単価:10万円

粗利率:60%

購入頻度:5回

購入期間:1年

コスト:10万

これらの数値を先ほどの計算式に当てはめると下記のようになります。

10万円×0.6×5回×1年-20万円=10万円

今回の計算式では、最終的に一人の顧客に対して1年間で10万円の利益が出たという結果になりました。

LTVはこのようにして導き出す事が出来るので参考にしてください。

LTVが低下する要因

LTVは数字に左右されるというのが先ほどの計算式で理解できたと思います。

顧客単価が低く購入頻度も少なければ利益は低くなり、下手をすればコスト面でマイナスになってしまう可能性もあるでしょう。

LTVが低いと悩んでいるのなら下記の4つのうちのどれかが原因であると考えられます。

それぞれの要因について解説していこうと思います。

客単価が低い

購入期間が長く継続的に商品が購入されても、客単価が低いと最終的な利益はそこまで大きくはなりません。

商品の価格を上げれば客単価も上がりますが、購入した理由が他社よりも安いことだった場合、継続して購入していた顧客が離れてしまうリスクもあります。

商品の価格を決める際は他社と比較して低すぎないか、その価格設定は原価率などを考えた時、ちゃんと利益として見込めるかどうか見極めることが大切です。

仮に商品の単価upをするならば、顧客が商品に対して高い評価をしているのか、現在のサービスに満足しているのかなどが分かっていれば、単価が上がっても顧客が離れてしまう可能性も低いと予想されますのでデータを見て判断してみましょう。

購入頻度の低下

商品の価格が高く、定期的に商品を購入する顧客がいても購入する回数が少なければやはりLTVは低い結果となります。購入頻度が低い要因としては、顧客に対して積極的な商品のアプローチ不足があげられるでしょう。

メルマガなどを配信して、常に顧客が自社の商品について考える時間や購入したいと思うように囲い込むのが、シンプルですが効果的な方法と言えます。

他には期間限定のサービス券や誕生日など特別な日付に合わせ、割引券などを配布し購買意欲を高めることで新たなリピーターとして育成も出来るので検討してみてはいかがでしょうか。

購入期間が短い

定期購入で継続的に顧客を獲得しても、その顧客がずっと購入し続けてくれるとは限りません。

定期購入をやめてしまうという事は、その商品が顧客にとって魅力がなくなったか、または他社の方が安価であったり商品の満足度が高かったりするなど理由は様々です。

このような事を未然に防ぐには日頃から顧客に対し、満足度調査を行うか解約しそうだと察知した顧客に対し商品の魅力を伝えるなど積極的にコミュニケーションを取りましょう。

顧客のロイヤリティが低い

ロイヤリティが低い顧客は、継続的な購入期間も短く他の商品の購入も消極的になりがちです。

逆に顧客のロイヤリティが高いと商品やサービスを継続的に購入してくれるだけでなく、周りの友人・知人にすすめてくれるので企業としてもとてもありがたい存在になります。

顧客のロイヤリティを高めるには主に2つの方法があります。

1つは継続特典などを付与し、特別な会員だということを意識させることです。

2つ目の方法は自社のブランドイメージを高める事です。ブランドイメージが高まり知名度も上がれば、それを使ってる顧客も良質な商品を使用してる意識が高まり自然と顧客の質も上昇します。

そういった顧客は自社の商品に対して好意的でありブランドのファンとなりえるので、積極的に商品を購入したり他者に商品をアピールするなど宣伝効果も期待できます。

LTVに関わる大きな要因

LTVに関わる要因は、大きく分けて下記の5つとなります。

① 流入媒体
② 商品
③ 価格
④ 顧客とのコミュニケーション
⑤ その他

となります。

さらに「④顧客とのコミュニケーション」は、その他①~⑤の要因に関しても影響してまいります。

①流入媒体

流入媒体別にLTVを把握します。 
獲得効率(CPO・CPA)だけ追えれば問題ないという
企業様もいらっしゃいますが、必ずしもそうではございません。

一例をあげると、
A:ポイントサイトなどで御社の商品についての情報を特に知らず、オファーに惹かれてなんとなくご購入されたお客様
B:御社の商品について詳しく調べ、他社と比較しご納得されたうえでご購入されたお客様
どちらの方が継続率が高くなるでしょうか?
火を見るよりも明らかですよね。
お話をさせていただく企業様からは、
ステップメールや同梱物の見直しをご相談いただくこともございますが、
LTVが上がらない要因は新規の獲得方法の場合も多くございます。

②商品

商品毎にLTVは様々です。
商品的な特性はもちろんのこと、
競合企業様や季節要因など外的な要因も大きく影響いたします。
しかしながら、データ分析・お客様の声を活用することでLTVを伸ばしている企業様も多くいらっしゃいます。

例1
商品点数の多い企業様では、初回購入商品(入口商品)により
LTVが大幅に変わる傾向がございます。
初回に提示する商品をあえて絞り、
その後にクロスセルをかけていく方が
LTVが上がる企業様も多くいらっしゃいます。

例2化粧品を扱う企業様の事例ですが、
「うるおい・保湿力が足りない」とのことで、
離脱をしてしまうお客様が多くいらっしゃいました。
そこであらたに、
保湿を補うクリームを初回客だけにプレゼントしました。
すると、本品の継続率が約20%改善し、
さらにクロスセルも誘発し顧客単価アップにもつながりました。

顧客の声をデータベース化し、自社の弱みを強みに変えることでLTVは大きく改善いたします。

③価格

価格に関しては、とてもシンプルです。
価格やオファーのテストを行い、LTVを把握することでLTVを最大化するオファー設計が可能になります。
ただ、全ての価格を変更し年間LTVを把握していては、
事業の進捗が遅れてしまいます。
そこで、LTVを把握している一部広告のオファーを変更し、テストを行います。
概ね3か月のLTVを把握できれば年間LTVの予測がたつため、3か月程度で判断をされる企業様が多くいらっしゃいます。

④顧客とのコミュニケーション

メール・LINE・DM・インバウンドコール・アウトバウンドコール・同梱物
お客様とコミュニケーションをとる方法は様々ございます。
全ては、顧客満足度・LTVを上げるための活動となりますが、
適切なコミュニケーションをとれている企業様はごく少数です。

 

アウトバウンドコールを新たに始めた企業様の事例です。
同一の商品・リーセンシー・フリークエンシー・オファーのリストを2社で
テストを行いました。
A社の休眠顧客獲得効率は、CPO4,000円
B社の休眠顧客獲得効率は、CPO6,000円 
上記のテスト結果より、A社の採用をしましたが、

半年後のLTVを比較すると、
A社のLTVは16,000円
B社のLTVは28,000円

獲得効率は、劣りましたLTVでは圧倒的な差が生まれます。
特にアウトバウンドコールは、獲得件数のノルマや目標があるため

顧客視点のコミュニケーションを重視するよりも、
獲得・引上げに目標をフォーカスしてしまうと

結果として、その後の継続率・LTVに大きな差が生まれてしまいます。
仮に、上記の企業様が自社のLTVを把握していなければ、自社にとって最適なコールセンターを選定できておりませんでした。
その他の施策に関してもLTVに大きく影響があるため、施策を行う前と後でのLTV比較は大変重要になります。

⑤その他

その他の要因といたしましては、ブランディング・リピート購入のし易さなどあげられます。
新たに変化をする場合は、上記と同様にLTVにどれだけ影響があったのか
把握をする
ことがとても大事になります。

ただ、
・リソースが足りずそこまで手が回らない。
・ノウハウがなくどのようにしていけばよいかわからない。
・効果が出ておらず、やり方がわからない。
というお客様も多くいらっしゃると思います。

上記に一つでも当てはまるお客様は、いますぐこちらのページをご確認ください。

LTVを向上させるためにEC担当者がすべきLTV施策3選

EC担当者が企業価値を高める上で肝要な要素の一つが顧客の生涯価値(LTV)の最大化です。

ここでは、そのための重要な施策を3つ挙げ、具体的な方法やアプローチを解説します。商品の価格設定や顧客の購買行動に着目し、LTV向上のための戦略的アプローチを考察していきます。

①商品の単価を上げる

LTVを向上させるための最初の施策は、商品の単価を上げることです。価格を引き上げることで、単位売上高を増やし、顧客1人あたりの利益を拡大できます。

ただし、価格上昇による顧客離れを避けるためには、高品質や付加価値を提供することが不可欠です。価格の正当性を説得力のある方法で示し、顧客が支払いたいと感じる価値を提供することが重要です。

②顧客の購入頻度を高める

LTVを向上させる2つ目の施策は、顧客の購入頻度を高めることです。

定期的な購入を促進するためには、リピート購買を促進するプログラムやサービスを展開することが有効です。例えば、定期的な特典や割引、会員限定の特別イベントなどを提供することで、顧客が継続的に商品やサービスを利用する動機付けを強化できます。また、顧客の購買履歴や行動データを活用し、パーソナライズされたマーケティングアプローチを実施することも重要です。

 ③カスタマーエクスペリエンスの向上

LTVを向上させるための3つ目の施策は、カスタマーエクスペリエンスの向上です。

顧客が良い体験を得ることで、企業へのロイヤリティが高まり、継続的な購買や口コミでの広がりが生まれます。そのため、顧客がスムーズで満足度の高い購買体験を得られるように、ウェブサイトやアプリの使いやすさを改善し、迅速なカスタマーサポートを提供することが重要です。また、顧客フィードバックを積極的に収集し、それに基づいてサービスや商品の改善を行うことも効果的です。

CRMでLTV向上を効率化させる方法も

CRM(Customer Relationship Management)を活用することで、LTV向上を効率化させる方法も存在します。顧客の行動履歴や嗜好を正確に把握し、それに基づいてターゲティングを行うことで、顧客にとってより魅力的なオファーやメッセージを提供できます。

また、CRMを活用して顧客とのコミュニケーションを強化し、顧客満足度を向上させることで、リピート購買や顧客忠誠度の向上につなげることができます。CRMを継続的に活用し、顧客との関係を深めることで、LTVを効果的に向上させることが可能です。

CRMとLTVは親和性が高い

CRMとLTVは非常に親和性が高い関係にあります。CRMを活用することで、顧客の行動履歴や購買履歴を詳細に把握し、それをもとに顧客の価値を最大化する施策を展開することができます。顧客の嗜好や行動パターンを分析し、ターゲットセグメンテーションやパーソナライズされたマーケティングを行うことで、顧客の購買意欲を高め、LTVを向上させることができます。

さらに、CRMを活用することで顧客との関係を深め、顧客満足度を向上させることで長期的な顧客の維持やリピート購買を促進し、LTVを効果的に増加させることができます。

LTVを最大化させる6つのポイントとは?LTV向上の成功事例も

まとめ

LTVを向上させるためには、EC担当者が以下の施策を検討することが重要です。

  1. 商品の単価を上げることで、顧客1人あたりの利益を拡大する。
  2. 顧客の購入頻度を高めるために、リピート購買を促進するプログラムやサービスを展開する。
  3. カスタマーエクスペリエンスを向上させ、顧客満足度を高めることで、顧客の忠誠心を強化し、継続的な購買を促進する。

さらに、CRMを活用することで、顧客の行動履歴や嗜好を把握し、ターゲティングを行い、顧客との関係を深めることができます。CRMとLTVは親和性が高く、効果的なCRM活用によってLTVを効率的に向上させることができますので、適切なCRM管理を行いましょう。

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