広告費を投下し続けなければならない単品リピート通販において、広告投資の費用対効果を向上させることはすべての企業共通の課題です。そこで注目をされているのが“CRM”への取り組みです。本稿では、単品リピート通販市場を取り巻く現状から、新規集客に頼るビジネスモデルの問題点、それを解決するCRM施策について紹介致します。


【Contents】

■単品リピート通販のビジネスモデル

■新規獲得の限界

■成長し続ける企業の特徴

■見るべきKPI


単品リピート通販のビジネスモデル

「単品リピート通販」とは、健康食品や化粧品など、顧客が定期的に同じ商品を繰り返し購入するビジネスモデルのことを言います。これらのビジネスモデルでは、多額の広告費を投下し、新規顧客を獲得します。例えば、3,000円の商品で新規顧客を獲得するのに必要な広告費(CPA)に15,000円かかったりします。

基本的に、単品リピート通販では新規顧客の獲得段階では赤字です。それを、顧客に商品を繰り返し継続的に購入してもらうことで、初期費用を中長期的に回収していくのが特徴です。故に、多くの単品リピート通販を行う企業は1ヶ月に1回や2ヶ月に1回など、商品が顧客の手元に自動的に届く“定期コース”を用意し、アフィリエイトやリスティングといった広告で新規顧客を誘導します。

「定期コース申し込みで初回90%オフ!その代わり、最低4回の継続をお願いしています。」なんてLPは良く見かけますね。このように、定期購入を約束させることにより、新規獲得に係るコストを回収出来るようにしています。

新規獲得の限界

新規顧客の獲得は、どの企業にとっても永遠の課題と言えるでしょう。新規獲得のために多額の予算を投じ、常に新しい広告手法や他社の成功事例にアンテナを張り巡らせています。CPAの目標値を設定し、その達成のためにクリエイティブを幾度となく見直したり、ABテストを行ったり、絶え間ない労力をかけている企業が多いのではないでしょうか。

一方で市場を見てみると、経済産業省が発表した2016年における日本国内のBtoC EC市場規模は15兆1,358億円で、2015年比で9.9%の伸び率となり、年々成長を続けています。東京オリンピックが開催される2020年には市場は20兆円に達するともいわれています。

日本国内の人口は減少に転じている一方で、EC通販の市場規模は右肩上がりの傾向にあります。これはすなわち、EC通販に参入する企業が年々増加していることを意味しています。最近では大手メーカーがEC事業部を立ち上げて展開しはじめた、という話も良く耳にします。

要するに、顧客の母数は横ばいないし減少傾向にあるのに、EC通販市場のプレーヤーはどんどん増えてきているという状況です。限られた顧客を多数の企業で奪い合う、といった構図になります。こうなると、企業は新規顧客獲得のために広告を打ちますが、配信枠にも限りがあるため、配信枠を巡って争奪戦となります。広告枠を取るために企業はこぞってお金を出します。結果、CPAは大幅に高騰し、新規獲得段階でのマイナスがより一層大きくなります。

マイナスが大きくなれば、コストを回収するためにより長い時間を費やします。まだ時間をかけてコスト回収が出来れば良いですが、定期コースを途中で解約されたりすると回収もままなりません。つまり、これだけ新規獲得や獲得後のコスト回収が困難になった今、広告予算を投じるだけの手法では成長著しい単品リピート通販市場で生き残っていくことは大変難しいのです。

成長し続ける企業の特徴

新規顧客獲得が困難であれば、目を向けるべきは“リピーター”です。そして、リピーターからの売上拡大に大きく寄与することが出来る施策が「CRM」です。
ところで、「CRM」と聞くと、どのようなことを連想しますか?多くの方は同梱ツールやアウトバウンドでの定期引き上げなどを思い浮かべるのではないでしょうか?実はそれだけでは不十分なのです。

CRMは、“顧客満足度”や“LTV=LifeTimeValue”を最大化するための“戦略”のことです。広告による新規集客コストが高騰し続ける中、いかに獲得した顧客がリピーターとなって購入し続けてもらえるかが、利益を左右します。定期に引き上がったから万歳!なんて言っていられないのです。

戦略的にCRMに取り組み、成功を収めている企業には共通の特徴があります。
・新規とリピーターの売上構成が2:8である
・定期引き上げ後にも顧客フォローを徹底している
・全顧客同一の内容ではなく、顧客に合わせたコミュニケーションを図っている

では、これらを実現するためにはどのようなことに取り組めば良いのでしょうか。
実は案外簡単で、

①自社の購買データから、顧客分析を実施
②分析結果に応じ、最適な施策実行
③施策の効果検証を行い、改善を実施

上記①~③をPDCAとして運用していく仕組みを作ることです。
① は顧客の購入商品、購入頻度や最後にいつ購入したのかなどの情報を基に顧客のセグメント分けを行います。②はそのセグメント毎にメール/DM/アウトバウンド/SMS/LINEといったアプローチ方法でコミュニケーションを図ります。③はメールの開封率などのKPIから、次のアクションを検討します。

これらを実現するポイントは、いかにデータ集計の作業時間を減らすかということにあります。何故なら、CRMが出来ていない企業の最大の理由がそこにあるからです。少人数のチームで運用することが多いEC通販においては、データ集計のような業務に時間を割いてしまうと、その後のデータの解釈やそれに紐づいた施策の設計などCRMの本質的な部分まで手が回らなくなってしまうからです。
データの集計などはツールを導入し自動化。スタッフの皆さんはいかに自社の顧客満足度やLTVを伸ばしていくことだけを考えることが大事です。

見るべきKPI

ここでは、単品リピート通販におけるCRMを行うにあたって、必要最低限管理する必要があるKPIを紹介します。

(1)定期継続率/解約率
各月の定期商品の継続率/解約率を把握し、今自社の商品はどこに売上の機会損失があるのか、ボトルネックを特定しそこを次月以降優先的に改善します。

(2)定期引上率
定期継続率と同様に、お試し・サンプル商品から定期商品への引上率の計測も重要です。数値が伸び悩む場合は、オファーや顧客へリーチする手段を変えるなどの判断が必要です。

(3)クロスセル・アップセル率
「この商品の購入者は、次のタイミングでこの商品を購入している」という購買傾向を把握し、戦略的に顧客への販促を展開しましょう。

(4)顧客育成率
CPM(カスタマー・ポートフォリオ・マネジメント)分析やRFM分析をもとに、自社の顧客ステータスを明確にします。

(5)LTV
年間や半年など、一定期間内における顧客一人当たりが創出する価値(売上)を計測します。LTVをベースに広告の費用対効果を計測し、より戦略的な媒体戦略を展開出来ます。
これらのCRMの取り組みを戦略的に行うことで、新規獲得に頼る売上構造から脱却し、リピーターの創出から売上を構築できる体制が整います。CRMが構築出来れば、広告の出来に左右されず、安定した収益基盤が出来上がります。しかも、CRM施策に係るコストは新規獲得コストの1/5~1/7程度と言われており、売上を拡大しながらコスト削減も実現出来るため、一石二鳥の施策と言えるでしょう。

ぜひ、貴社内でこの5つのKPIが建てられていなければ、こちらの記事を参考に戦略的なCRMを始めてみてください。

Leave A Comment