OMOとは?意味や最新マーケティングの導入事例をわかりやすく解説

OMOという言葉がビジネスシーンで取り上げられていますが、まだ馴染みがなくどのような意味なのか活用方法がよく分からないといった方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、今後知っておくべきOMOについてわかりやすく解説しています。
メリットや導入事例も記載しておりますので、是非ご自身のマーケティングに役立ててみて下さい。

OMOとは

OMOとは「Online Merges with Offline(オンライン・マージズ・ウィズ・オフライン)」の頭文字から付けられた言葉で、意味は「オンラインとオフラインの融合」です。

ユーザーが販売チャネルの垣根を超えてサービスを受けられるように、オンラインとオフラインの境界線をなくし、同一のものとして顧客体験を構築するマーケティング手法を指します。

たとえば、お腹がすいて店頭で商品を買う前に、スマートフォンで注文と支払いを済ませレジに並ばず商品を受け取れるようなサービスがOMOです。OMOの導入により新たな顧客体験が提供でき、商品やサービスの差別化が図れるため注目されています。

オンラインとオフラインを融合させる重要性

現在までに、オンラインとオフラインを結びつけるマーケティングの試みは、積極的に行われています。
例えば、LINEなどのSNSを利用してクーポンを実店舗に誘導したり、逆に実店舗でPOPやチラシを配布してECサイトに誘導する手法が、多くの小売店で採用されています。

しかしながら、従来のアプローチでは、オンラインとオフラインは異なるチャネルとして区別されていました。
基本的な考え方は、ビジネスの中心がオフラインにあり、オンラインはそれに付随する要素と見なされていました。

しかし、近年ではオフラインとオンラインの境界線が不明確です。
ECサイトに加え、スマートフォンを活用したQRコード決済や電子マネー決済も普及し、オフラインだけで事を考えることが難しくなっています。

そこで、「アフターデジタル」という考え方が広まっています。
これは、オンラインを前提として、オフラインもデジタルの一部として捉えるアプローチです。
現代では、ビジネスを展開するにはオンラインが前提でなければならず、激しい競争に対応するためにもこの考え方が重要です。

OMOの最前線は中国

今、世界でもっともOMOが進んでいるのはデジタル先進国と呼ばれる中国です。
まず、OMOという言葉自体を最初に提唱したのが、中国のベンチャーキャピタルの創業者、李開復(リ・カイ・フ)です。
彼はGoogleの中国部門のトップにも君臨しています。

李開復が考案した新しいマーケティング戦略は、2017年12月の「ザ・エコノミスト」誌上で発表され広く認知されました。

中国の都市部では、多くの人が日常の買い物をスマホ決済に移行しています。
現金を持ち歩かずに買い物や食事をする中国人の姿をよく見かけます。
スマートフォンユーザーの増加と、店舗側のレジのネット連携が進んだためです。
この状態はユーザーにとって非常に便利なものですが、一方の企業側にも大きなメリットをもたらせます。
従来別々であったオンラインとオフラインそれぞれの消費者行動を一元管理できるのです。

つまり、スマートフォンでの決済利用者の買い物や食事、観光などのオフラインの行動が、データ化され、一人ひとりにIDで紐づけされているのです。

OMOの重要性

従来オンラインのECサイトショップとオフラインの代表格である実店舗はそれぞれの独立性を持ち発展してきました。しかし、デジタル技術やインターネットの進化からくる利便性と個人のライフスタイルの変化から、オンラインの領域が広がりを見せてオフラインの領域に押し寄せています。

そうした状況下のなか、オンラインに注力することは企業の競争戦略上自然な流れであり、OMOの考え方が浸透していったという経緯があります。またコロナウイルスの世界的大流行も相まって、OMOの広がりは加速度的になっています。

OMOとオムニチャンネル・O2Oの違い

ECマーケティングの中には、OMOの他にオムニチャネルやO2Oという用語も存在します。意味が似通っているものもありますので、ここではOMOとの違いについて解説します。

オムニチャネルとは?

オムニチャネルは、あらゆる販売経路、集客経路という意味です。
企業が持つすべての販売チャネルを連動させて、消費者との接点を増やす販売手法です。
企業と顧客をつなぐ販売チャネルは実店舗をはじめECサイト、アプリ、テレビショッピングなどさまざまな種類があります。

顧客への接点を複数持ち、なおかつどこからアクセスしても同様の購買体験ができるようにすれば、顧客は自分に最も使いやすいチャネルを利用できるのです。

企業側も購買データを1ヶ所に集約すると統合的な販売戦略立案するための分析作業に役立てられます。

OMOとオムニチャネルの違い

オムニチャネルとは、提供側が持つ全ての販売経路を活用してユーザーとの接点を増やし購買行動を促す手法になります。たとえば、ECサイトや実店舗、テレフォンショッピングやアプリケーションなどがあります。

一方、OMOはユーザー視点に立ち、オフラインとオンラインを統合し、購買だけではなくアフターフォローまで含めた全ての顧客体験(=UX:ユーザーエクスペリエンス)を向上させる手法を指します。要するにオムニチャネルをより発展させた考え方という訳です。

O2Oとは?

O2Oとは「Online to Offline」の略です。

O2OもOMOと同じようにオンラインを活用するマーケティング手法です。ただしOMOとは異なり、O2Oでのメインはオフラインでオンラインは顧客を誘導する手段にほかなりません。

ネット上から、ネット以外の実店舗などでの購入へ導く流れを指し、ネット上で情報提供をおこない、店舗などでの購買行動に影響を与えるようなマーケティング施策のことを言います。

具体的には、ネット上でクーポンを提供し、実店舗で使用できるようにする、ネット上のECサイト内で店舗情報ページを作成し、店舗の位置を分かるようにして実店舗へ誘導したり認知を促進させることです。

OMOとO2Oの違い

O2Oとは「Online to Offline」の略で、オンラインで集積したユーザー属性や購買履歴などの顧客情報をオフライン(=実店舗など)に情報共有しマーケティングに活用する手法のことです。

たとえば、オンラインから得た情報を活用してユーザーの近場の実店舗で使用できるクーポンを配布し、オンラインから実店舗への誘導を促す施策があります。このようにO2Oは実店舗が起点になっているのに対し、OMOはオンラインとオフラインを融合しているという点が違います。

OMOが普及した背景

近年、OMOに対する注目度が高まっている背景は、スマートフォンの普及と顧客層の変化が挙げられます。
多くの顧客がパソコンと同等のスペックがあるモバイルデバイスを所有しており、オンライン生活はもはや日常生活の一部です。
そのため、オフラインとサービスを分けるのは顧客ニーズを満たすうえで適してません。

キャッシュレス決済が浸透し、ネットショッピングは珍しくはありません。
欲しいものができたときに、まずインターネットで情報収集するのは今や普通のことなのです。

また、スマートフォンアプリの利用情報や訪問したECサイトや閲覧・購入履歴などのオンライン情報と実店舗を訪れた際の位置情報や店内行動などのオフライン情報の顧客データを統合可能になったテクノロジー面の発展も挙げられます。

OMOのメリット

では具体的にOMOのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは4つのメリットを紹介します。

販売機会の損失を防げる

1つめのメリットは販売機会の損失を防げることです。OMOはオンラインとオフラインが融合している特徴があるため、顧客の購買意欲が高まった瞬間を逃しません。

たとえば、モバイルオーダーを活用すればレジに並んだり支払いに時間をかける必要がないため、面倒くさいから買わないと思う顧客が減るでしょう。購買に対する妨げがなくなるため、販売機会の損失が防げます。

顧客の体験価値を向上

2つめは顧客の体験価値を向上させられることです。成熟した市場では、似たような商品やサービスが溢れており機能やコスト面での差別化が難しくなっています。そこで鍵となるのが「UX(顧客体験)の向上」です。

たとえば、店舗で試着した商品を自宅に配送してもらえ手ぶらで帰れるなど、今までの顧客体験の一歩先をいくことが可能です。OMOには潜在的な顧客ニーズを掘り起こし、新たな価値を提供することができるメリットがあります。

顧客のニーズをより正確に把握できる

3つめは顧客のニーズをより正確に把握できることです。たとえば、実店舗とオンラインの両方の購入履歴がアプリに反映されれば、どちらか一方の情報から得られる結果より正確な顧客のニーズを知ることができます。正確なニーズを得られれば、その分顧客へのサービスのクオリティが上がるため顧客満足度の向上やLTVの増加も可能です。

LTVの最大化

4つめはLTVの最大化です。顧客体験(UX)の向上を図ることによって、自社でないと体験できない価値が生まれます。その結果、ユーザーがただの顧客ではなく自社のファンになれば、シリーズ化された商品や横展開されたサービスなども購買の対象になりリピート購入が期待可能です。アップセルやクロスセルを上手く織り交ぜてLTVの最大化に繋げられるようになるため、メリットと言えるでしょう。

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OMOのデメリット

ここではOMOのデメリットを4つ解説します。

長期的な視点が必要

デメリットの1つめは長期的な視点が必要なことです。OMOを実行するためには新しいシステムの導入やサービスの構築など、仕組みづくりに時間がかかります。

また、OMOの取り組みが本当に顧客体験の向上につながっているのかは、購入額や来店人数などさまざまなデータを取って確認しなければいけないため長期的な視点を持って進めることが必要です。

データベースの構築や活用が難しい

2つめはデータベースの構築や活用が難しいことです。データベースの構築はすぐにできるものではなく、地道な収集が必要となります。

また、データの種類はオンラインサイトや実店舗、メール施策の結果などさまざまなものがあるため、統合する手間や分析する能力も必要でしょう。データの一元管理や分析、施策への活用にはCRMなどツールを導入する方法が効果的です。

UIの開発や社内体制の整備にコストがかかる

3つめはUIの開発や社内体制の整備にコストがかかることです。スマホアプリやデジタルサイネージなど顧客向けのUIを開発するには、専門の知識が必要なため外部に発注するケースもあるでしょう。

また、OMOに必要な環境を整え業務を滞りなく進めるための人材育成も必要です。たとえば、現場で働くスタッフのオペレーションを変更したり、顧客から得られたデータを分析し施策に生かす人材の確保などがあります。

ビジネスモデルによって向いてない場合がある

ビジネスモデルによって向いてない場合があることもデメリットのひとつです。OMOはオンラインとオフラインの融合が顧客体験の向上につながるため実店舗だけや通販だけなど、どちらか一方でしか顧客と接点を持たないビジネスモデルでは、施策を反映させることが難しくなります。

OMOの具体的施策方法

OMOについて解説してきましたが、より具体的に理解できるように具体的な実例を挙げて以下の5つのサービスを紹介します。

  • チャットボット
  • サイネージ
  • 店舗受け取り
  • モバイルペイメント
  • 自宅配送
  • モバイルオーダー
  • ポイント・クーポン

チャットボット

チャットボットとは、「チャット」=会話と「ボット」=ロボットを掛け合わせたものです。AIを使い、まるで人が話しているかのように自動で会話ができる自動会話プログラムのことを言います。

最近ではECサイトで利用されることが多く、蓄積されたデータを元にECに訪れた人が質問しそうな事柄をあらかじめ学習させておき、売り場で販売員に質問するように、オンライン上でチャットボットが自動で顧客の質問に答えてくれます。

OMOでは、店頭に設置されたチャットボットが、サイネージと併せて在庫や商品などのおすすめ情報を顧客に提供し、購買を促すという使い方がされています。

サイネージ

サイネージとは、店頭などに設置されたサイネージの前に顧客が立った際に、顧客の属性を分析し、その属性に合わせたおすすめの商品やサービスを提示するシステムです。顧客属性は年齢や性別などを識別でき、一部鉄道のホーム自販機でOMOとして使用されています。

このサイネージとチャットボットを活用したサービス提供をしている具体例が、2019年にリニューアルした渋谷PARCOです。PARCOを訪れた顧客は、サイネージに表示されたQRコードからオンラインで商品を購入することができます。PARCOはサイネージによって、各テナント同士の買い回りを活性化することに成功しています。このようなサイネージの使い方は今後、多くの商業施設で普及していくでしょう。

店頭受け取り

店頭受け取りに関しては、ユニクロやニトリをはじめ多くの企業で導入されているサービスで、ECサイトやモバイルアプリで注文した商品を自分が指定した店頭で受け取れるというものです。店舗に在庫がない場合や、レジが混んで待ち時間がとれない場合など、ユーザーにとって大きなメリットをあたえることが可能です。

モバイルペイメント

日本の代表的なモバイルペイメントといえば、電子系電子マネー「Suica」が有名です。「Suica」は事前にチャージするプリペイド型になっているため、追加購入や再来店促進という意味でももっとも成功した実例です。

モバイルペイメントとは、モバイルアプリで決済できるサービスのことを言います。ポイントの管理から決済までをワンストップで済ませることができ、レジを無人化したり、顧客の購入履歴を管理することでアプリの利便性が上がります。

自宅配送

自宅配送とは、オンライン上で商品を注文し近隣の店舗が自宅に商品を配送してくれるサービスです。メリットとしては、店舗と自宅が近いため到着時間が短いことが挙げられます。

最近では、「ZOZO」が「ZOZOMO」というOMOシステムサービスを開始しており、来店時に商品が欠品していた場合、店舗スタッフが在庫を検索し、在庫のある店舗から自宅に配送するという顧客直送システムが使われています。

モバイルオーダー

近年では、顧客がスマートフォンやECサイトから商品を注文するモバイルオーダーが増加中です。
来店前にスマートフォンから注文すれば、店舗で受け取るだけで買い物が済むものや、レジに並ばずに注文と決済が完了するものなど、さまざまな使い方があります。

飲食店のテイクアウトやアパレル関連などの、商品選択に時間をかけたいものの、会計には並びたくない顧客のニーズに対応した施策です。

顧客側には、注文から商品の受取までにかかる時間を短縮できるメリットがあります。
一方の店舗側にも、顧客のIDに来店時の情報を紐づけてマーケティングに活用できるメリットが存在するのです。

ポイント・クーポン

スマートフォン向けのアプリ提供により、実店舗とオンラインで統一されたポイントやクーポンを利用できます。
例えば、商品の購入時に実店舗で受け取ったレシートをスマートフォンのカメラでスキャンすることでポイントが加算されるシステムが導入されています。

顧客がオンラインとオフラインの両方で共通のポイントを獲得できる仕組みを提供することで、シームレスな購買体験が可能となり、企業は顧客の行動データを収集して効果的なマーケティングに活用できます。

同様に、来店や購買を促進するためにクーポンを活用することも可能です。
顧客の属性や行動データに合わせてクーポンを配信することで、より精緻なマーケティングが実現できます。

ポイントやクーポンは、顧客の利便性向上や企業のマーケティング施策において効果的な手段となります。
これらは、オンライン・オフラインを結ぶ重要な取り組みであり、顧客と企業の双方に利益をもたらすでしょう。

OMOを有効的に活用するポイント

メリットを最大限に活かすためにも次に挙げる4つのポイントを上手に活用しましょう。それぞれについて順に解説していきます。

マルチな販売チャネル

OMOはオフラインとオンラインを融合させる手段です。そのためにもユーザーと接する機会を幅広く用意することは重要です。ECサイトや実店舗だけでなくSNSやオウンドメディアなどを利用し、顧客ニーズの掘り起こしだけでなくデータの吸い上げも同時に行う必要があります。

すでにオムニチャネルやO2Oを構築している企業は、目線をユーザー視点に寄せるようにし、まだの企業はチャネルの構築に注力しましょう。

魅力的な店舗

OMOは魅力的な価値を提供する手段ですので、オンラインだけに注力するわけにはいきません。これまでとは違い、オフライン(=実店舗)の役割も変化していきます。

決済方法の多様化などは、どの店舗も推し進めており、あまり違いを生み出すことには繋がらなくなっています。あくまで例にはなりますが、ある小売店では商品の梱包に記載されてあるQRコードを読み込むと、産地やサプライチェーン、生産者情報などが確認できるといった工夫をしている店舗もあります。

ICTの活用

先のポイントで述べたように、QRコードを例に挙げましたが、これまでにない価値の提供にはICTの活用が欠かせません。

ユーザーに直接提供する仕組みから、自社のデータ収集を効率化させる仕組みなど、あらゆる側面から検討しましょう。パッと思い付くだけでも、スムーズな決済方法の構築やモバイルアプリの活用、社内的にはCRMやMAツールの導入などが挙げられます。最初のステップとしては、自社の課題を見極めて導入するICTを選別することがおすすめです。

データベースの構築

OMOの活用には、多角的なデータの収集と分析が必要です。ユーザーはオフライン・オンライン関係なく、チャネルを行ったり来たりとシームレスに移動します。データを吸い上げるためには間口を広げ、集約するためのデータベースは一元管理できるように統合しましょう。

統合することで効率的に且つスピード感を持って施策を推し進めることができます。少しでもユーザーとの機会損失を防ぐためにもシステムの統合と整備は不可欠になります。

OMOの導入事例

概要を解説したところで、企業がOMOを活用した具体的な例をご紹介します。よりイメージが湧きやすくなり導入の参考になれば幸いです。

インテリア|ニトリ

家具やインテリアの販売を行っているニトリは、リフォームサービスも展開しています。

そこでショールームへ来ることが出来ない遠方のお客様向けに、「Live call」と呼ばれるリフォームしたい箇所をビデオ通話で共有しながら担当者とすり合わせを行えるOMOを実現しました。

また、担当者不在時においてもショールームにタブレットを併設しておくことで、別の店舗の担当者に相談も可能なシステムを構築しており、ユーザー視点に立って考案された顧客体験の向上を実現しています。

飲料|サントリー

飲料系メーカーであるサントリーは、2019年6月に自分好みのコーヒーを飲むことが出来るカフェ「TOUCH-AND-GO COFFEE(タッチアンドゴーコーヒー)」をオープンしました。

200種類以上ある組み合わせから味を選び、LINEで事前決済と受取時間を指定ができるため待ち時間レスでコーヒーを受け取れることが特徴です。

全く新しいUX(顧客体験)を提供したこのサービスは、パーソナルの要素を大きく満たすサービスを創造しており、正にOMOの本質を体現しているマーケティング手法と言えます。

小売・EC|アリババ

中国最大のECサイトを運営するアリババは、OMOの最前線を行く企業でさまざまなサービスを展開しています。

その中でもスポーツウェアやシューズを取り扱う「INTERSPORT」は、店頭に2mの巨大モニターが設置されているのが特徴です。モニターの前に立つと、店舗に陳列してあるウェアをモニター越しに何枚も試着することができ、試着室の混雑や煩わしさを解消しています。

また、商品のタグを読み込むだけでそのまま商品を購入することもでき、デジタルと店舗を融合させた新しい体験を得ることが出来るサービスと言えるでしょう。

アパレル|オンワード樫山

アパレルメーカーのオンワード樫山では、通販サイトから選んだ洋服を店舗で試着できるOMO型店舗「ONWARD CROSSET STORE」を展開しています。

指定したスタイリストと一緒にコーディネートを考えるサービスや3DCADを使った試着イメージを確認するサービスも備えています。実店舗に行くという、人によっては煩わしさを感じさせるサービスにはなっていますが、それ以上に魅力を感じる店舗という価値を付けた、アパレル特有の利点を突いたサービスです。

アパレル|PARCO CUBE

パルコはショッピングセンターの開発・運営、不動産業を展開する企業です。パルコ渋谷店の5階にあるパルコキューブではオンラインとオフラインを融合した新しい顧客体験を提供しています。

たとえば、パルコキューブにある「CUBE MIRROR」を利用すれば、通常の服の試着と違って後ろ姿も写してくれるためより客観的な視点で似合うか判断できます。

他にも大型のデジタルサイネージも利用でき、商品のバーコードを読み込むことでオンラインでの購入も可能です。商品は後日自宅に配送されるため、荷物が多い日や雨の日でも気軽に買い物を楽しめます。

参照:【身近なOMO】PARCO CUBEから学ぶ快適なショッピング体験

アパレル|ナノユニバース

ナノユニバースは株式会社TSIが運営するファッションブランドで、全国に40店舗を構えています。同ブランドは顧客のニーズにひたすら答えようとした結果OMOにたどり着きさまざまな施策を行っています。

たとえば、スタッフの話からアプリ内でスクリーンショットを取ると自動で品番が表示される仕組みをつくりました。

他にもチェックイン時にスマホを機械かざすことで店頭で売れてる商品やおすすめのコーディネートがアプリに表示される機能を開発し、情報をもとに顧客が店員に話しかけ店員がサポートする形でニーズに応えています。

参照:ナノ・ユニバース(TSI)が推進するOMOによる“個”客体験づくり

飲食|マクドナルド

ハンバーガーレストランチェーンのマクドナルドは2020年1月に全国の店舗でモバイルオーダーを導入しました。

モバイルオーダーは店舗に行く前にスマートフォンから注文でき、商品を持ち帰るか店内で食べるかは店舗に着いてからの決定が可能です。

店内で食べる場合「席で食べる」を選択すると運んで来てもらえるため、注文の行列に並ぶ手間や時間が省けるだけでなく、店内の混雑に注意して席まで運ぶ必要もなくなります。

参照:【身近なOMO】モバイルオーダーに学ぶこれからの飲食店のかたち

小売|三井ショッピングパーク

三井不動産商業マネジメント株式会社が展開する三井ショッピングパークのららぽーと海老名では、他の店舗に先駆けてモバイルオーダーを導入しています。

通常のフードコートに家族や友人と行った場合、それぞれが食べたいお店に並び会計を行うため、順番に席を立ったり荷物を置いておくなどの工夫が必要です。

しかし、ららぽーと海老名のモバイルオーダーは席に座ったまま複数店舗の商品をまとめて注文できるため、それぞれの店舗レジに並ばなくて済みます。

さらに注文情報を他の人のスマートフォンに移せるため受け取りにも困らず、顧客にとって嬉しいサービスとなっています。

参照:【身近なOMO】モバイルオーダーに学ぶこれからの飲食店のかたち

小売|@cosme TOKYO

日本最大級のコスメ・美容の総合サイト「@cosme」がプロデュースする@cosmeストアはチャネルやブランドを横断した約1万店の商品を取り扱い、気になった商品を自由に試せる特徴があるお店です。

@cosme TOKYOの店内には、サイトで殿堂入りしたコスメや週間ランキングに入った商品、店舗の売れ筋商品がディスプレイされているコーナーがあります。

顧客は豊富なラインナップから、おすすめ度や口コミを参考に気になる商品を試して購入を決められ、オンラインとオフラインのメリットを同時に受けられる顧客体験を提供しています。

参照:【身近なOMO】@cosme TOKYOから学ぶ新しい体験型店舗

医療|平安保険グループ

中国最大の保険金融グループである平安保険グループは、2015年AI技術を利用したオンライン診療アプリ「平安グッドドクター」を発表しました。

「平安グッドドクター」はオンライン診療から処方箋の発行、オンライン決済、薬の配送まで一連のサービスとして提供しており、2020年6月時点で利用しているユーザーは約3億人です。

オンラインで診療を受けられるため、病院に行く手間や待ち時間がなく体調が悪いときに苦労して外出しなくて済みます。また、処方箋の発行と薬の配送まで行えるため受診と同じ効果が得られるのです。

参照:診療における業務デジタル化、通院不要のオンライン診療の時代が到来?

OMOの今後の発展

国内・海外の事例を見ていただいたところで、OMOの今後がどのようになっていくのか、予測も入りますが見ていきましょう。

日本市場

キャッシュレス決済化が進んでいる中国と違い、日本はまだ現金信仰が残っている市場と言えます。

国民性からか、なかなか新しい技術などが浸透しにくい風潮があります。2021年時点のデータですが、キャッシュレス決済比率は約3割と未だ低水準です。

ただ、東京五輪やコロナウイルスの世界的大流行という環境変化があり、非接触型の決済の需要は高まっています。今後の日本はOMOが広く受け入れられる市場が育ちつつありますので、期待は出来るのではないかと思います。

今後の発展性

参考事例として、飲料メーカーなどの例を挙げましたが、OMOとの親和性が高いのはアパレル業界になります。

ZOZOに代表される総合ファッションECサイトが隆盛を見せましたが、実店舗の土壌と現物主義の風潮が残る日本においてアパレル業界が持つ可能性はまだまだ伸び代があると言えるでしょう。

ただ忘れてはならないのが、OMOの本質はUXの価値向上です。ユーザーのことを最優先に考えることがひいては自社の利益に繋がりますので、常にアンテナを立てチャンスがどこに転がっているのか見落とさないようにしましょう。

まとめ

今回はOMOについて解説してきました。OMOとは、オンラインとオフラインの垣根をなくし、それぞれを融合させた新しい価値を提供するマーケティング手法です。

すでに導入している日本企業も多数存在しますが、今後OMOの考え方は重要性を増していくでしょう。

なぜなら、個人の価値観の多様化やライフスタイルの変化、成熟した市場の中で企業が生存していくには、パーソナライズされた価値を提供することがビジネスの成功に繋がるからです。

この記事がOMOを導入したいと考えている方にとって少しでも参考になれば幸いです。

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